戦国異伝供書
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第二十四話 奥羽仕置きその七
「酒と馳走をこれでもかと用意しておる」
「だからですな」
「酒を飲み馳走を喰らい」
「そうしてですな」
「全ての戦に勝った祝いをする」
「そうなのですな」
「そうじゃ、存分に祝ってじゃ」
それでというのだ。
「よいな」
「はい、それでは」
「それではですな」
「ここはですな」
「まずは岐阜に戻る」
「それまでは耐えてじゃ」
そうしてというのだ。
「戻るぞ」
「疲れに負けず」
「そうしてですな」
「岐阜まで戻るのですな」
「そうするぞ、そして帰ればな」
岐阜にというのだ。
「安土そして大坂に城を築きな」
「そうしてですな」
「各地の検地と刀狩りも行い」
「そうしてそのうえで」
「領地を治めていきますな」
「これまで殿がお話されていた通りに」
「むしろこれからじゃ」
大事なのはというのだ。
「戦に勝ったことでなくな」
「後をどう治めるか」
「手に入れた国々を」
「それがですな」
「一番大事ですな」
「殿にとっては」
「そうじゃ、戦に勝つことも大事であったが」
しかしというのだ。
「むしろ大事なのはこれからじゃ」
「そう思うと忙しくなりますな」
「手に入れた多くの国を治めるとなると」
「それは悩みですな」
「実に大きな」
「うむ、今から何かと考えておる」
勝ったその後でというのだ。
「わしもな、それでじゃが」
「これからですな」
「一体国をどう治めていくか」
「考えても考えてもですな」
「悩みは尽きぬ」
「今の殿は左様ですか」
「そうじゃ」
その通りだとだ、信長は家臣達に答えた。
「まだ岐阜にも戻ってないがな」
「岐阜に戻ればですな」
「治がまたはじまりますが」
「一体どうして治めていくか」
「殿の頭の中はですか」
「今はそのことで満ちていますか」
「そうじゃ、考えても考えてもじゃ」
それでもというのだ。
「仕方ないがどうしてもじゃ」
「考えてしまい」
「それで悩んでもおられる」
「そうなのですか」
「今の殿は」
「うむ、だが急がぬ」
戻る道はというのだ。
「こうした時こそな」
「落ち着いてですな」
「そうして戻るべきですな」
「そして周りもですな」
「注意しますな」
「だから兜もじゃ」
戻る中でもというのだ。
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