八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第百九十五話 カップリングその九
「弟君の怨霊を恐れられて」
「それでなノ」
「築いた都あるか」
「遷都もされていたけれど」
奈良の平城京からだ、寺社の政治への介入を嫌がってという理由もあったがそれと共に怨霊も恐れられたのだ。
「弟君の早良親王がね」
「あっ、その人教科書に出ていたワ」
「冤罪だったあるな」
「それで自ら食事を絶たれテ」
「亡くなられたあるな」
「うん、そうしてね」
どうも宮中の陰謀劇に巻き込まれたらしい。
「それでなんだ」
「自害みたいに亡くなられテ」
「その人の怨霊をあるな」
「桓武帝が恐れられて」
その結果としてだ。
「平安京は築かれているんだ」
「最初からそうなのネ」
「それが平安京で、あるな」
「今の京都になル」
「そうあるな」
「そうなんだ、もっとも平安京になってもね」
怨霊への対策を徹底的に講じたまさに霊障に対する要塞都市になってもだ。
「あの街はずっと怨霊とか妖怪の話があるんだ」
「怨霊への対策を徹底的にしてモ」
「それでもあるか」
「さっき言った百鬼夜行も出たし」
人間のそれがまた怖い、蘇我入鹿や長屋王の怨霊が列を為して藤原家の邸宅の前で恨みを言うという。
「鬼が出たりもあったし」
「酒呑童子とカ?」
「大江山の鬼あるな」
「あと橋にも出たネ」
「そうだったあるな」
「一乗戻橋だったかな」
その橋に鬼がいたのかそれとも安倍晴明が潜ませていたのかはちょっと覚えていない、両方だったかも知れない。
「そこにも話があったし狐や狸の話もあるし」
「ふんだんにあるわネ」
「まさに怪異の宝庫あるな」
「菅原道真さんの話もあるし」
藤原氏に太宰府に左遷されてそこで世を儚んで亡くなってから雷神にまでなったという、何かの漫画でダンディな神様になっていたけれど怨霊としても有名なのだ。
「もうあれこれってね」
「怪談話の宝庫ネ」
「京都はそうあるか」
「うん、多分学園と街の違いはあっても」
当然ながら街の方が単位としてはずっと大きい、しかも京都は人口百万を超える政令指定都市である。
「あっちの方がそうした話多いよ」
「それも凶悪な話ネ」
「この学園みたいにほのぼのではないあるな」
「この学園の怪談善人を襲うって話ないシ」
「精々驚かせるだけある」
「それが違うからね」
僕もこのことは断った。
「酒呑童子は悪事の限り尽くしたし菅原道真さんもね」
「怨霊となっテ」
「物凄かったあるか」
「陥れた人が次々と死んでね」
このことが祟りと言われてからだった、この人の話は。
「それで御所に雷まで落ちて」
「それも祟りって言われテ」
「恐れられたあるか」
「だから鎮める為に必死になったんだよ」
それで学問の神様として祀る様にもなった。
「京都の怪談は洒落になってないんだよ」
「ううん、何か凄いネ」
「あそこはまた格が違うあるな」
「そうなんだ、怨霊を恐れて築かれて怨霊に悩まされた街なんだ」
「築いてもなノ」
「恐れられているあるか」
二人も僕の話にしみじみとして言った。
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