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夢幻水滸伝

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第七十七話 筑後騒乱その十四

「先輩が薩摩に入られますと」
「そうなるとたいな」
「はい、私一人になります」
「そして肥前一国たいな」
「それで九州の他の国全部を敵に回すことになります」
「そうなるとたいな」
「勝てる筈がありません」
 間違いなくという言葉だった。
「それでは」
「ではたいな」
「若し先輩が敗れる、若しくは降られるなら」
「その時はあんたも」
「降るしかなくなります」
 選択肢はそれしかなくなるというのだ。
「ですから」
「あんたも考えているたいか」
「今そうしています」
 美鈴のその話を聞いてというのだ。
「心の中で」
「そうたいか」
「先輩のお考え次第ですが」
 棟梁としての自分の限界を感じそれからどうするかということはというのだ。
「ですが」
「それがたいな」
「九州がどうなるか」
「それが決まるたいな」
「そうなるかと」
「わかったとよ、少し考えるたい」
「そうしてですね」
「決めるたい」
 そのうえでというのだ。
「これから」
「では」
「あんたもたいか」
「私は先輩と一緒ですね」
「うちの決断に従うたいか」
「先輩が戦われるなら戦います」
 そうするというのだ。
「勝つまでは。そうしてです」
「降ると決めたらたいか」
「その時は降ります」
「あんただけでは戦えないたいからな」
「そうします、もうこうなっては」
 今の九州の戦局ではというのだ。
「先輩と私は同じですから」
「完全な同盟関係たいな」
「一蓮托生になってますからね」
「だからたいな」
「はい、先輩に従います」
「うちの決断で九州の今後が決まる」
 美鈴は雪路の言葉に腕を組んで述べた。
「ではたい」
「お考えになって」
「そして決めるたい」
「では今から」
「少し時間を貰うたい」
 こう言ってだ、美鈴は一旦自分の部屋に篭った。そうして今後どうすべきかを一人で熟考するのだった。


第七十七話   完


                 2018・8・9 
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