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永遠の謎

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646部分:第三十六話 大きな薪を積み上げその二十三


第三十六話 大きな薪を積み上げその二十三

「俺達も生きますよ」
「王様の一大事ですから」
「貴方が行くんならやっぱり」
「俺達も」
「いえ、駄目です」
 その彼等にだ。ホルニヒは強い声で告げた。そのうえでだ。
 こうだ彼等にさらに言うのだった。
「私はこのことで命を落とすかも知れません」
「謀反人達によってですか」
「殺されるっていうんですか」
「最早大公殿下が摂政になられました」
 状況は変わった。相手にとって有利に。
 だからだとだ。その危険があるというのである。それでだった。
 彼等を拒みだ。同行を許さなかった。そのことを告げてだ。
 デュルクハイムが用意してくれた馬に乗る。そのうえで城に向かう。後ろを振り向こうとはしない。
 その彼をだ。民衆や兵達はまだ同行しようとする。しかしだ。
 デュルクハイムはだ。強い声で彼等を止めた。またしてもだった。
「駄目だ」
「ですが今はです」
「少しでも陛下の為にです」
「人が必要ですが」
「君達にはそれぞれ想う者がいる筈だ」
 彼はだ。その民衆や兵達にこう言った。
「その者達の為に自分を大事にするのだ」
「陛下への忠誠は」
「それは」
「我々は陛下の民、兵です」
「それでもなのですか」
「もう充分なのだ」
 遠い目になりだ。デュルクハイムは彼等にだ。また言った。
「君達はそれを見せた。陛下もわかっておられる」
「だからいいと」
「そして俺達の想い人の為にも」
「行くなというんですか」
「それはあの方も望まれてはいない」
 他ならぬだ。王もだというのだ。
「あの方は自分の為に他の者が傷つくのを好まれない」
「ではあの方は」
「ホルニヒさんは」
「どうして行かせたのでしょうか」
「それは彼の想い人が陛下だからだ」
 それでだというのだ。遠い目のままでだ。
「認めるしかなかったのだ」
「陛下を想われているからこそ」
「それ故に」
「全ては彼に任せよう」
 他ならぬだ。ホルニヒにだというのだ。
「君達は解散するのだ。いいな」
「・・・・・・わかりました」
「仕方ないですか」
「しかしです」
 ここでだ。兵の一人がだった。
 デュルクハイムに顔を向けてだ。こう問うたのである。
「大佐はこれからどうされるのですか?」
「私は」
「はい、大佐はこれからは」
「ミュンヘンに戻る」
 そうするとだ。淡々としてその兵士に答えた。
「そうする。今からな」
「あの、それはです」
 兵士は彼の返答を聞いてだ。顔を強張らせてだ。
 そうしてだ。こう彼に言ったのである。
「大佐にとっては」
「ミュンヘンに戻れば逮捕されるというのだな」
「そうです。陛下のことで」
「それならそれでいい」
 構わないとだ。やはり淡々として語る彼だった。
 そうしてだった。彼はだ。実際に馬を出してだった。
 そのうえでだ。こうその兵達や民衆達に話した。
 
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