八条学園騒動記
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第四百九十六話 ブルーアイズその四
「世の中はね」
「ええ、ただね」
「ただ。どうしたの」
「何かプリシラ妙にリアルに言うけれど」
「そうかしら」
「そんな人と縁があったの?」
「幸いにしてないわ」
返事は現在形であった。
「今もね」
「そうよね」
「けれど可能性としてね」
現実でも有り得ることであというのだ。
「そうしたこともなのよ」
「怖い現実ね」
「事実は小説より奇だし」
この時代でも残っている言葉だ、小説は人が物語を考える。だが事実即ち歴史は英語だとヒストリーつまり彼の物語となる。その彼とは神ではないかと言われている。即ち人の世は神が物語を書いているというのだ。
「だから」
「そうしたことも有り得るのね」
「そう、そしてそうした人達の笑顔は」
「見たくないのよね」
「お互いにね」
「そうしたお話になったわね」
「じゃあ妹の笑顔は」
プリシラはジュディに彼女のアルバイト先の店の笑顔から一つ出して話した。
「どうかしら」
「妹って?」
「お兄ちゃんお帰りなさいっていう」
「そんな妹リアルじゃないでしょ」
ジュディはプリシラに即座にこう返した。
「殺人鬼以上にね」
「存在するとは思えないのね」
「そうでしょ、そんな妹見たことある?」
「アニメや漫画やライトノベルなら」
「創作の世界だけで」
それでというのだ。
「現実はね」
「そうした妹さんは殺人鬼以上にいない」
「殺人鬼はいても」
切り裂きジャックやフリッツ=ハールマンの様な存在はというのだ。
「けれどね」
「それでもなのね」
「大抵そんなお兄さんを慕う妹とか」
「いないのね」
「家族の情はあっても」
それでもというのだ。
「そんなね」
「ブラコンみたいな話は」
「ないでしょ、シスコンだって」
兄が妹を愛する、そんなこともというのだ。
「ないでしょ」
「じゃあ妹キャラは」
「あくまで架空で」
「殺人鬼以上にいない」
「あと弟さんを溺愛するお姉さんとか」
即ち姉もというのだ。
「姉一辺倒の弟さんも」
「いないのね」
「そんな兄弟いないでしょ、そりゃ殺し合いとか論外だけれど」
そうした兄弟はというのだ。
「現実にそうしたお話は歴史にあるけれど」
「私達が今いる日本でもね」
「骨肉の争いって言ってね」
「戦国時代は特に」
「兄弟で殺し合いとかあったわね」
「家督争いで」
これはどの国でもある、王朝では常と言っていい。
「あったわね」
「そうだったわね」
「特に源氏」
プリシラはこの家を例えに出した。
「日本だと」
「源義経さんね」
「五代に渡って身内同士が殺し合って」
「遂に誰もいなくなったのよね」
「そう。殺し合いを続けた結果」
この場合は源氏の嫡流、源為義の家のことだ。
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