八条学園騒動記
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第四百九十五話 カフェインの強さその十
「すぐに寝られるよ、この季節だともう丸くなって」
「そうなって」
「そう、寝るんだ」
実際にというのだ。
「丸くなってね」
「だからアイマスクもいらないの」
「そうだよ、ただね」
ここでこうも言ったジョンだった。
「何かあればすぐに起きるんだよね、ジョンって」
「あっ、そうね」
七美も言われて気付いた。
「何かあったら」
「すぐにね」
「目が覚めて」
「そうなって」
「起き上がるわね」
「これパトラッシュもだけれどね」
ネロの愛犬であり友人でありパートナーでもある彼もなのだ、すぐに寝るが何かあるとすぐに目覚めるのだ。
「ぱっとね」
「目覚めるわね」
「そうなるからね」
「これ犬の体質?」
「体質っていうか」
それこそというのだ。
「犬の習性かな」
「警戒するっていう」
「元々群れで動いていて」
それでというのだ。
「見張りもいるから」
「その見張りの習性ね」
「それでじゃないかな」
「何かあるとすぐに起きるのね」
「番犬も仕事だしね」
犬のそれだというのだ。
「だからね」
「成程ね」
「それとね」
さらに話したジョンだった。
「犬は耳もいいから」80
「人間の八倍よね」
「それだけいいから」
だからだというのだ、犬の感覚で優れているのは鼻だけではないのだ。
「すぐに聞こえて」
「起きるのね」
「そうだと思うよ、ラッシーも耳いいし」
そのラッシーを見てだ、ジョンは七美に笑顔で話した。
「それだけにね」
「すぐに聞こえて」
「すぐに起きるんだ」
「便利な身体の構造ね」
「うん、だから頼りになるよ」
何かあると起きるからだ。
「本当にね」
「成程ね、何か最後はラッシー自慢になったけれど」
「そうかな」
「なってるわよ」
実際にというのだ。
「今のあんたは」
「気のせいじゃないかな」
「気のせいじゃないわよ」
ジョンの今の言葉は否定した。
「あんた本当にラッシー好きよね」
「もう僕の分身だよ」
「もう一人のあんたなの」
「そう言っていい位だから」
ジョンは七美にラッシーは自分にとってそこまでの存在だと話した。
「だからね」
「自慢もするの?」
「自慢じゃなくて事実をね」
これはジョンが思う、主観での言葉だ。七美は彼女の目つまり客観から言っているので認識が違うのだ。
「行ってるんだよ」
「やれやれね、けれどラッシーは確かにね」
「名犬だよね」
「そう思うわ、ジョンの考えてることなら」
「言う前にね」
「気付くしね」
「そうして動いてくれるし」
そうしたことも出来るのがラッシーなのだ。
「もう本当にね」
「あんたの分身ね」
「パートナーを超えてるよ」
そこまでの存在だというのだ。
「僕もラッシーの考えてることがわかるしね」
「絆がそこまで深いのね」
「そうだよ、じゃあ今からね」
「ゆっくり寝て」
「午後も頑張るよ」
ジョンから先にハンモックの中に入った、そして七美も続きそうして二人共寝た。午後のチャイムが鳴ると二人共すぐに起きて午後の授業に向かった。
カフェインの強さ 完
2018・10・9
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