| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第百九十二話 芥川の作品その八

「けれどその呼び方もね」
「あの人からですか」
「そうなんだ、ただね」
「ただ?」
「豊臣秀吉と比べたら」 
 流石にだ。
「二流だけれどね」
「そうなりますね、幾ら何でも」
「うん、太閤さんはね」
 それこそだ。
「間違いなく超一流だしね」
「その人と比べると」
「二流なのはね」
「どうしてもそうなりますね」
「否定出来ないよ、ただそんな遊び方が祟ったのか」
 お酒に麻薬にとやってだ。
「息子さん生まれてすぐにね」
「亡くなったのですね」
「そうなったからね」
 急死だったらしい、それで親友だった檀一雄が坂口安吾の亡骸の横で呆然となっている写真が残っている。
「やっぱり遊びはね」
「楽しむものですね」
「戦いとかムキになってやることは」
 それこそだ。
「やるものじゃないよ」
「そうですね」
「うん、そんなことをしても」
 それこそだ。
「楽しくないしね」
「遊びって肩肘張ってやるものじゃないから」
 美沙さんもこう言った。
「そもそもね」
「そう、本当に」
 それこそだ。
「やるものじゃないわ」
「そうだよね」
「遊ぶのは力を抜いてね」
「楽しくよ」
「そうやらないと」
「面白くも何もないわ」
「それこそウイスキーを飲むのも」
 坂口安吾みたいにだ。
「もう息を止めて無理に飲むみたいな」
「そんなことをして飲んでもね」
「全然美味しくないし」
 実際坂口安吾は美味しくないと書いているし太宰にしても戦いで飲んでいるからお酒は美味しくないと言っていた。
「やっぱりね」
「美味しく楽しくね」
「遊んでね」
「飲むべきよね」
「あと麻薬はね」
 これはだ。
「絶対にしない」
「したら終わりだからね」
「うん、怖いよあれは」
 終戦直後はまだヒロポンが出回っていたけれどだ。
「何もかもが壊れるから」
「そうよね」
「よく思うけれどね」
 親父も麻薬はするなと言っている、あれは自分の何もかもを壊すあえて言うのなら『魔薬』と呼ぶべきものだと。
「あれだけはね」
「手を出したらね」
「駄目だよ、麻薬やって長生きした人もね」
「あっ、聞かないわよね」
「そうだよね」
「短期間だけならともかく」
 それで止められた人はいいとしてだ。
「長い間中毒の人でね」
「長生きした人聞かないよね」
「そうよね」
「これ当然だけれどね」 
 言うまでもないことだ。
「だって身体も心もボロボロになるから」
「それをずっとやってたらね」
「中毒になってね」
「それで長生き出来る筈ないわね」
「そう、それは当然のことだよ」
 長い間麻薬に溺れていた人が長生き出来ないことはだ。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧