八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第百九十二話 芥川の作品その七
「一週間寝ないで済む位だっていうけれど」
「それはエネルギーを食べたり飲んだりして入れてるんじゃないからね」
「身体の中のエネルギーをですね」
「無理に引き出しているから」
「覚醒剤の場合は」
「それで身体にも悪影響出るから」
骨格や筋肉に異常が出る、だから歯もボロボロになるのだ。
「幻覚を見て電波を受信したり」
「大変なことになりますね」
「それでも打ってね」
結核で死にそうな身体にだ。
「書いていたから」
「もうそれは死ぬ覚悟ですね」
「そうだったんだ」
織田作之助の場合はだ。
「結核で死ぬまでね」
「そうして書いていたのですね」
「作風も別に無頼というかね」
「そうした感じではないですね」
「大衆を書いていたから」
代表作の夫婦善哉でもそうだ、頼りない旦那さんとしっかりした奥さんの人生を書いた作品と言っていいと思う。
「またね」
「無頼とはですね」
「その派に入れられていても」
「また違いますか」
「うん、あの派で一番無頼なのは坂口安吾かな」
太宰よりもだ。
「お酒に麻薬にだったから」
「無頼ですね」
「生き方がね」
「破滅を見た」
「あの人が一番そうかな」
よく言われる破滅型作家に近いだろうか。
「太宰以上に既存の観念を否定していたし」
「それでお酒に麻薬で」
「無茶苦茶だったからね」
部屋も凄かった、もう散らかり放題でだ。
「奥さんも大変だっただろうね」
「そうなのね」
「うん、そうしたところを見たら」
それでだ。
「坂口安吾が一番無頼でね」
「破滅的ね」
「そう思うよ」
僕としてはだ。
「それでああした生き方はね」
「よくないって思うのね」
「そう思うよ、破滅的な生き方は」
デカダンスと言うのか、もうやけっぱちになって死ぬつもりで飲んで遊ぶ様なそうした行いのことは。
「見ていても嫌になるから」
「それが坂口安吾でしょうか」
小夜子さんも言ってきた。
「そうなるでしょうか」
「ううん、何か違うかもね」
「違いますか」
「あの人は確かに破滅的だったけれど」
堕落論という作品も書いている、人間はどうしても堕落するからそれなら堕落していけばいいと書いていたと思う。
「自暴自棄ではなくね」
「何か信念を持っていた」
「そんな風だからね」
「破滅的でもですね」
「何かがあったと思うよ」
その破滅的な遊び方もだ。
「そうも思うよ」
「そうですか」
「うん、確かに酷い生き方だったけれど」
このことは否定出来ない、読む限りでは。
「自棄ではないんだよね」
「信念があった」
「そう感じるんだよね」
僕としてはだ。
「それで遊んでね」
「作品も書いていましたか」
「色々書いていたしね、二流の人とか」
「黒田如水ですね」
「うん、あの人を二流って言ったのもね」
「坂口安吾からですか」
「二流とは思えないけれどね」
ゲームで出て来ても知力がかなり高くて間違いなく一線級の人材だ、織田信長でやっても豊臣秀吉でやっても重宝する。
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