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山奥の一家

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第五章

「コカトリスか」
「この連中のことがわかったのう」
 山本は納屋の石像達を見つつ井伏に応えた。
「コカトリスに石に変えられてたんじゃ」
「そうじゃな」
「七匹おるのう」
 山本は今度はコカトリスの数をざっと目で数えた。
「しかもコカトリスの中でも一番強いな」
「キングコカトリスじゃな」
「そうじゃ、これはじゃ」
「かなり強いのう」
「並の冒険者だったらじゃ」
 それこそというのだ。
「石化させられる」
「目だけじゃなくて石化する息も吐くからのう」
「そうじゃ、しかしじゃ」
「それでもじゃ」
「わし等ならな」
「こんな程度何でもないわ」
 七匹のキングコカトリス達が相手でもというのだ。
「そやからじゃ」
「今からのう」
「倒してくぞ」
「よし、そうするか」
 二人でこう話してだ、そしてだった。
 二人で七匹のモンスター達に向かった。
 キングコカトリス達はすぐに邪眼や石化の息を出そうとした、しかし。
 二人は術を放ちながら突進し調節攻撃も繰り出した、その素早さと威力にはコカトリスの中でも特に強い彼等を以てしても適うものではなかった。
 七匹のキングコカトリス達は二人に攻撃を全く当てることなく全て倒され金に変わってしまった。井伏はその金を拾いつつ共に拾う山本に言った。
「さて、これでじゃ」
「第一段階終了じゃのう」
「次は一家で出て来るか」
「若しくは一人か」
「こんなはどうなると思う」
「さてのう、一家全員が人食いってのも定番じゃが」
「誰か一人っていうのもじゃしのう」
 井伏はこの可能性も指摘した。
「だからじゃのう」
「一概に言えんわ」
「そうじゃのう、まあどっちが出てきてもじゃ」
「倒すだけじゃ」
「コカトリス達みたいにな」
 二人で話してだった、金を拾い終えると。
 井伏は張り手で納屋の扉を壊した、彼の張り手一発でそうなった。
 そのうえで二人から出る、この時山本は井伏に尋ねた。
「石化は解かんか」
「冒険者や旅人はじゃな」
「そうじゃ、骨も転がっとるが」
 何故骨が転がっているかは言うまでもなかった。
「どうする」
「全部終わってからじゃ」
 井伏は山本に一言で答えた。
「それでええじゃろ」
「戦いがあったら巻き込まん為にじゃな」
「そうじゃ、これから家に戻るが」
「一家がどんな顔をするか」
「それ次第で戦いになるわ」
 そしてその戦いにというのだ。
「巻き込まん様にな」
「今は石や骨のままでいてもらうか」
「石化解いたり復活してもらうのはその後じゃ」
 こう山本に話してだった、井伏は彼と共に一家がいる家に戻った。すると二人の顔を見た一家はというと。
 驚愕してだ、二人に言った。
「石になっていない?」
「馬鹿な、どういうことじゃ」
「しかもどうして納屋から出て来たの」
「コカトリスは全部倒して納屋の扉を壊して出たんじゃ」
 井伏は一家に何でもないという顔で答えた。
「それでこんな等に聞きたいんじゃがのう」
「あのモンスターと納屋の石像は何じゃ」
 山本も問うた。
「一体」
「こんな等ここに来た旅人や冒険者コカトリスで石に変えてたんじゃな」
 井伏は核心を指摘した。
「そして保存して石化から解いて食うてたな」
「よくわかったねえ」
「それ位すぐに察しがつく、そしてじゃ」
 井伏は老婆にさらに言った。
「こんな等人食いの化けものじゃな」
「オーガやが化けてるじゃろ」
 山本も言った、その手の日本号はもう構えている。 
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