夢幻水滸伝
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第七十六話 引き分けの後でその十四
北原の金棒に対して純奈は弓矢だけでなく刀まで使ってそうして闘う、遠近両方での攻撃に北原も苦戦したが。
それでもだ、北原は次第にだった。
純奈を追い詰めていった、そしてだった。
純奈は一刻程闘い遂に左の膝をついた、そうして北原に言った。
「うちの負けたい」
「そう言うでごわすか」
「そうたい」
こう言うのだった。
「膝をついた、それならたい」
「負けてごわすか」
「先についたたいからな」
だからだというのだ。
「うちの負けを認めるたい」
「そうでごわすか」
「見事だったたい」
「しかし。まさか林さんの方が先に疲れが出るとは」
見届け人だった又吉はこう言った。
「まさかと思いましたが」
「うちの動きは大きくまた弓矢と刀を使っていたたい」
純奈は自分の攻め方をこう分析して又吉に答えた。
「その分疲れが出たたいか」
「そういうことですか、武器を使い分けることも大変ですからね」
「特に一騎打ちならそうたいな」
「だからですね」
「これは失態だったたい、しかし失態も」
それもというのだ。
「負けは負けたい」
「だからですか」
「この城明け渡すばい」
「それではでごわすな」
北原は純奈のその言葉を受けて述べた。
「肥後ごと降ってくれるでごわすか」
「民ば頼むでごわす」
「治めさせてもらうでごわす、そしておはんも」
純奈自身にも言うのだった。
「降ってもらうでごわす」
「そしてたいな」
「そう、これからは三人でごわす」
北原はこうも言った。
「我が勢力の星のモンは」
「三人というと」
「おはんもでごわすよ」
純奈に微笑んで告げた。
「そうでごわす」
「やはりそうたいな」
「宜しく頼むでごわす」
「ではこれより」
「勝ち鬨を挙げてでごわす」
それでとだ、北原は又吉に応えてだった。
薩摩の兵達に勝ち鬨を挙げさせた、ここに肥後そして純奈は彼の勢力に入ることになった。北原はすぐに軍勢の全てを挙げて城の修繕と傷付いた者達の手当てを命じてだった。
熊本城の天守閣の最上階に登った、そうして言うのだった。
「さて、これからでごわすが」
「どうされますか」
「筑後でごわす」
自身の後ろにいる又吉に答えた、見れば純奈もいる。
「そちらに兵を進めるでごわす」
「筑後ですか」
「あの国を手に入れれば」
それでというのだ。
「九州の西に大きく進出出来るでごわす」
「あの国から肥前にも筑前にも行ける」
純奈も言ってきた。
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