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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第百九十二話 芥川の作品その五

「損するよ」
「というかデュマって別に高尚な作品書くつもりなかったわよね」
「そんな風に考える人じゃなかったみたいだよ、豪快な人柄でね」
「インテリっていうよりかは」
「うん、遊び人でね」
 何でもかなりの女好きで若し自分が一人の女の人だけを愛するとその女の人は身体がもたないと豪語していたらしい。
「お金の使い方も荒かったみたいだよ」
「そうだったの」
「もう書いて書いてね」
 小説工場という位書いていたらしい。
「入ったお金は使う」
「そうした人生だったの」
「それで死ぬ時殆ど財産もなかったそうだよ」
「それはまた極端ね」
「そんな人だったからね」
「人生も小説になりそうとか」
「なったと思うよ」
 特に女性遍歴がそうだったみたいだ、流石に好色一代男みたいに有り得ないまでの遍歴じゃなかった様だけど。
「ユゴーもそうだったけれど」
「あの人もなの」
「亡命もしてるし浮気してされて」
「何か凄いわね」
「もう家庭も円満どころかね」
「波乱万丈ね」
「浮気したりされたりだから」
 美沙さんにまたこの言葉を言った。
「そんなのだから」
「あの、それは」
 小夜子さんは僕の今の話にどうかという顔で言ってきた。
「デュマもユゴーも」
「倫理的にはだね」
「どうかと思いますが」
「うん、家庭人としてはね」
「太宰治も愛人の方がおられましたが」
 そのうちの一人の人との間に子供がいてもう一人の人と心中をしている、考えてみれば太宰の女性関係もかなりのものだ。
「デュマやユゴーはですね」
「もっとだよ」
「凄いものがありますね」
「そうなんだ」
 これがだ。
「だからね」
「倫理的に考えますと」
「どうしてもね」
 本当に二人共だ。
「どうかということはね」
「否定出来ないですね」
「こと女性関係ではね」
 特にデュマは下半身に人格がないと言うべき人だったみたいだ。というかその豪遊を自慢していたというから親父みたいだ。
「それこそね」
「無茶苦茶な方々で」
「無頼派っていうとね」
「そうなりますか」
「そうだと思うよ」
「太宰も無頼派よね」
 美沙さんは彼の名前をここでまた出した。
「そうよね」
「うん、その派に入れられてるよね」
 終戦直後に活躍した作家さん達の派だ、新戯作派とも呼ばれる。
「太宰は」
「そうよね」
「坂口安吾とか織田作之助と一緒にね」
 あとは田中英光や檀一雄が入る。
「分類されてるよ」
「それは生き方でも言われてるわよね」
「お酒飲んで遊んでね」
 その頃の太宰も作品の中で義の為に遊ぶとか子供より親が大事とか家庭の幸福は諸悪の根源とかこれまでの価値感を否定する発言をしてきている。
「既存の概念を否定していたからね」
「飲んで遊んで」
「うん、ただデュマは楽しんでやっていたけれど」
 遊んで飲んでだ、お金をあるだけ使って生きていても。 
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