永遠の謎
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546部分:第三十二話 遥かな昔からその七
第三十二話 遥かな昔からその七
「確かに場所はどうも閣議向きではありませんが」
「それでもですね」
「今は」
「はい、陛下を待ちましょう」
そのだ。王をだというのだ。
「間も無く来られます」
「それではです」
「その様にさせてもらいます」
大臣達もいささか納得しない顔だがそれでも頷いてだった。
王を待つ。その王が来てだ。閣議がはじまる。王は彼等の話を聞いていきだ。決定を下していく。その閣議や発言自体は以前のままで実に聡明なものであった。しかしだ。
王はだ。その発言と共にだった。
牛や鶏の言葉を聞く。それについてだ。
何の妙なことも感じずだ。閣議を続ける。そのままだった。
閣議が終わった。大臣達はそれを受けてだ。王に対しておずおずと尋ねた。
「あの、宜しいでしょうか」
「陛下にお伺いしたいことがあるのですが」
「何でしょうか」
王はその彼等の言葉に応える。
「この場での閣議のことでしょうか」
「はい、そうです」
「申し訳ありませんが」
「何故ここで閣議を?」
「田園においてとは」
「こうした場での閣議こそがです」
王は彼等の問いにだ。一呼吸置いてから答えた。
「正しい議論が出来決断を下せると思ったからです」
「だからですか」
「それでこの田園で、ですか」
「閣議を開かれたのですか」
「田園はいいものです」
自然を愛する王にとってはだ。田園もまたそうなのだ。
「いるだけで心が落ち着きますね」
「ロココでもありますね」
ここで閣僚の一人がこう述べた。
「だからですね」
「そうですね。ロココでもありますね」
その通りだとだ。王は話す。
「田園はマリー=アントワネットも愛していました」
「だからでしょうか」
「意識はしていませんでした」
そのことは正直に述べる王だった。
「ですがそれでもです」
「田園を選ばれましたか」
「そうです」
「自然にそうされたのですか」
「何も閣議室でばかり開かれるものではありません」
王はまたこの考えを述べる。
「時としてはこうした場所で開かれるのもいいものです」
「そう言われますか」
彼等は王の話を確かに聞いた。しかしだった。
それでも王のこの行動は奇行に思えた。どうしてもだった。
そしてだ。王は時折村を不意に訪れることもあった。その時にだった。
村人達は王を笑顔で迎え入れてだ。ある大会に案内したのである。
「丁度今です。祭りを行っていまして」
「陛下も参加されますか?」
「お祭りに」
「どういった祭りでしょうか」
王は村人達にだ。まずはその祭りについて尋ねた。
「一体」
「はい、射撃の大会です」
「的を射抜くことを競う大会です」
「無論優勝すれば賞品を貰えます」
「そうした大会ですが」
「はい、それではです」
それを受けてだった。王もだ。その祭り、射撃大会に参加することにした。
王は銃を手に取り何発か撃った。しかしである。
的に全て当たった。それも中央にだ。それを受けてだ。
村人達は一斉に拍手した。そうしてそのうえでだ。王を讃えてそれぞれ言うのだった。
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