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夢幻水滸伝

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第七十六話 引き分けの後でその八

 彼等にだ、こうも言ったのだった。
「星のモン二人にどう対抗するか」
「一人ば相手にしてももう一人がいる」
「まさに今その一人に攻められている」
「この状況ばどうするか」
「兵もあちらの方が多いですし」
「二人を一度にして戦えば」
 そうすればとだ、純奈はさらに考えた。
「同じ戦場にばおびき出して」
「そして各個に戦えば」
「それなら戦えますが」
「そう持ち込められれば」
「そう思いますが」
「そうたいが」
 しかしと言うのだった。
「それにはどうするか」
「果たして」
「何かいい策ばあるか」
「それが問題ですと」
「しかもあの駆けながらの攻めば防ぐ」
 薩摩独特の攻め方であるあの過激な攻め方をというのだ、鉄砲は放った後で抜刀して切り込むか鉄砲に駆け続けつつ装填するのだ。
「それもしたいたいが」
「ならです」
 ここで兵の一人が純奈に言ってきた。
「やっぱりそれなら」
「二人を同じ戦場に連れ出してそうしてたいな」
「駆けながらの攻めを防ぐには」
「籠城たいな」
「熊本城に籠れば」
 それならというのだ。
「どうでしょうか」
「やっぱりそれしかないたいか」
 純奈は腕を組んでそうして述べた。
「籠城たいか」
「熊本城ば籠れば」
「そうすればです」
「あっちの星の人二人も来ますし」
「あの城は堅城たい」
 純奈もよくわかっていることだ、熊本城はこの世界でも忍者返しと言われる反り返った石垣の造りに他にも色々な守りやすく攻めにくい造りになっているのだ。
 それでだ、彼女も今こう言うのだ。
「攻め落とそうと思えばたい」
「それならですね」
「星の方も一人では攻められんとです」
「二人いなければ」
「無理ですと」
「そうたい、だからたい」
 それ故にというのだ。
「ここは籠城たい」
「はい、そうですね」
「あれならあの駆けながらの攻めも防げます」
「あれは野戦の攻め方です」
「籠城している相手には出来んとです」
「それならたい」
 まさにと言ってだ、そしてだった。
 純奈は北原と彼が率いる軍勢との戦を中断し彼女の本拠地でもある熊本城に軍勢を戻した、それを見てだった。
 北原はすぐにだ、又吉に貝殻を通じて言った。
「ここはでごわす」
「林さんがですね」
「熊本城に入りそうだからでごわす」
 それでというのだ。
「ここは追いたいと思いそうしているでごわすか」
「動きが速いですか」
「だから入城を許してしまいそうでごわす」
 純奈と彼女の軍勢がというのだ。
「だからでごわす」
「籠城している相手をですか」
「攻めることになるでごわす、だから」
「僕もですね」
「来てくれるでごわすか」
 こう言うのだった。
「ここは」
「二人でないとあの城は」
「攻め落とせないでごわす」
 北原もそう見ていた、熊本城については。 
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