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永遠の謎

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535部分:第三十一話 ノートゥングその十六


第三十一話 ノートゥングその十六

「しかしそれはです」
「バイエルンの為にだな」
「下世話な言葉では長いものに巻かれろになりますが」
「それもまた違うな」
「時代はバイエルンをドイツの中に入れようとしていました」
 そしてそれは今もだった。
「だからこそです」
「卿はプロイセンに依っている」
「下手に独立しても何もなりません」
 王自身にだ。こう話すのである。
「かえってプロイセンに飲み込まれるだけです」
「プロイセンは圧倒的だ」
 王もだ。このことを言う。
「その軍事力だけでなくだ」
「経済力もですね」
「科学もだ。植民地こそないがな」
「イギリスやフランスの様にですね」
「しかしそれでも国力は高い」
 植民地はこの時代ではまさに国力のステータスシンボルだった。プロイセンにはそれはまだない。だがそれでもだ。その国力はというと。
「ドイツ諸侯を圧倒している」
「無論バイエルンも」
「それで下手に独立を言ってもだな」
「何にもなりませんから」
「最悪プロイセンとの戦争になり」
 そしてどうなるか。その場合のことも王はわかっていた。
「我が国は敗れる」
「そうすれば何もかもが終わりです」
「国土を蹂躙されることも覚悟しなければならない」
「そうなれば元も子もありませんから」
「その通りだ。だからこそだ」
 それでだというのである。
「バイエルンはプロイセン、ドイツに寄るべきだ」
「そう確信しているからこそです」
 ホルンシュタインは真顔で王に話していく。
「私はバイエルンの為に動いているのです」
「そういうことだな」
「ですから」
 ここでまただった。ホルンシュタインは話を戻した。今度戻した話は。
「陛下はバイエルンの為に動かれて下さい」
「それが王の務めか」
「オットー様では無理です」
 ホルンシュタインも知っていた。彼の状況は。
 幸い今は落ち着いておられますが」
「危ういな」
「最早どうなるかわかりません」
 それでだというのだ。オットーは玉座に座れないというのだ。
「決してです」
「だからこそ私がか」
「玉座におられるべきです」
「そうなのだな」
 王はここで崩れた。身体には出ていないが心がそうなった。そうしてだった。
 ホルンシュタインにだ。こう述べたのである。
「ではだ」
「はい、玉座に留まられますね」
「そうする。しかしだ」
「あのアルプスの城達ですか」
「それは築く」
 望みではなかった。既に。
「何としてもだ」
「ですがくれぐれもです」
「負担はかけるなというのだな。国に」
「このことを願います」
 ホルンシュタインはバイエルンの財政を見ていた。国家の財政というものは容易に破綻するものだからだ。だからこそ王に言うのである。
「くれぐれもです」
「財政。それは」
「それは?」
「今のことでしかないのだがな」
 それでもだと話してだった。王は。
 
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