| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

夢幻水滸伝

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第七十六話 引き分けの後でその二

 両軍日の出と共に起きてすぐに干し飯と味噌の飯を食ってだった、即座に戦に入ろうとする。だが。
 ここでだ、薩摩にも福岡にもだった。
 急報が入った、それで北原はその報を貝殻から言う又吉に返した。
「わかったでごわす」
「では」
「すぐにそちらに戻るでごわす」
「転移の術を使われて」
「そうするでごわす」
 こう言うのだった。
「琉球に」
「はい、今はです」
「那覇の島がでごわすな」
「巨人が出てです」
 そしてというのだ。
「大変なことになっていますので」
「おまんさあも行くでごわすな」
「はい」
 こうしてだった、北原は戦の采配を一時中断して琉球本当に行くことにした。そして。
 美鈴もだ、その報に眉を顰めさせて言った。
「大雨で、たいか」
「はい、堤が決壊しました」
 福岡の家臣が美鈴に言っていた。
「豊前で」
「わかったたい、すぐにたい」
「即座にですね」
「豊前に向かうたい」
 こう家臣に対して答えたのだった。
「そうするたい」
「宜しいですか」
「戦どころではないたい」
 美鈴は貝殻の向こうの家臣にきっぱりと答えた。
「民のことたい」
「では」
「すぐにたい」
 まさにというのだ。
「豊前に兵を連れて行くたい」
「そして兵達で、ですね」
「堤を元ば戻して」
 復旧してというのだ。
「被災している民達が救うたい」
「宜しくお願いします」
「民を助けるばして」
 そうしなければというのだ。
「星のモンでなかとよ」
「だからですか」
「そうたい」
 即答だった、ここでも。
「すぐに行くたい」
「それでは」
「移動の術で移動出来る者はすぐに行くたい」
 豊前、そこにというのだ。
「そうしてたい」
「即座に復旧にあたりますか」
「そして被災者の救助たい」 
 それにもあたるというのだ、そして実際にだった。
 美鈴も兵達を率いてそうして豊前に急行した、戦の采配を執るべき二人がおらずしかも福岡の軍勢は美鈴が兵を率いて豊前に向かったこともあり。
 戦は中断となった、それで巨人達を倒した北原は鶴丸城に戻ってそのうえで又吉に対してこう言った。
「戦は引分けでごわすな」
「はい、日向は守りましたが」
 又吉も北原に堪えて述べた。
「ですがそこからは」
「攻めなかったでごわすからな」
「それではですね」
「引き分けでごわす」
 北原はこう言い切った。
「そう言うしかないでごわす」
「豊後に兵を進められませんでしたし」
「巨人が出ては仕方がないでごわす」
「全くです、ただすぐに我々二人が向かったので」
 又吉はその巨人達の話をした。
「二人で巨人達に向かえたので」
「連中は即座に全員倒してでごわす」
「琉球はことなきを得ました」
「それはよかったでごわすな」
「今度出て来たのは海巨人でしたが」
 海棲と言われている巨人達だ、肌は青緑色で身体を鱗に覆われエラや鰭もその身体に着いている。全長は他の種類の巨人よりも一回り大きく巨大な半魚人とも言われる。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧