八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第百八十七話 鉄仮面その九
「神聖ローマ皇帝にね」
「ハプスブルク家の」
「うん、宿敵のあの家から奪おうとしたんだ」
元々あの国の皇帝は選挙、七人の大司教や大貴族からなる選帝侯のそれで選ばれていた。それが実質的にハプスブルク家の世襲になっていったのだ。
「そう考えていたんだ」
「ただ国力で圧倒するのではなく」
「うん、帝冠もね」
「奪おうとしていましたか」
「そうだったんだ」
そう考えていてだ、あの人は神聖ローマ皇帝になろうとしていたのだ。
「それで領土も得てね」
「皇帝にもですね」
「なろうとして戦争をやっていたんだ」
「そうした事情があったのですか」
「それでね」
その野心の結果だ。
「神聖ローマ帝国というかオーストリアと戦争をして」
「イギリスともですか」
「戦争をしてね」
ルイ十四世の頃は実質この二国が同時に相手になっていた、もう三十年戦争で事実上神聖ローマ帝国は解体していてハプルブルク家はオーストリアになっていた。
「その結果ね」
「皇帝にはなれなかったのですね」
「そうなんだ、太陽王は太陽王で」
「皇帝にはなれなかったのですか」
「その為に色々やったけれどね」
オスマン=トルコにオーストリアを攻めさせたりしてだ。
「結局失敗してね」
「皇帝にはなれず」
「フランスも傾いたんだ」
その長い治世の後半はそうなっていった。
「贅沢も凄かったしね」
「ベルサイユ宮殿にしても」
「あれ物凄い建築物だから」
親父も行っているだろうか、今は欧州にいるけれど。小夜子さんにお話をしながらふとこんなことも考えた。
「完成までに二百年かかってお金もね」
「物凄くですね」
「かかっているからね」
「そちらのこともあって」
「しかもあの王様美食家でもあったから」
このことでも有名な人だ。
「とにかく贅沢を極めていてね」
「お金をかなりかけていて」
「そちらでもね」
特に建築でだ、建築は昔は本当に戦争並にお金と国力を使ったとのことだ。
「だから傾いたんだ」
「というか凄い王様ね」
美沙さんはここまで聞いてこう言った。
「あらゆる意味で」
「うん、よくも悪くもね」
「凄い王様よね」
「目立つ王様だよ、むしろルイ十三世よりもね」
「三銃士の王様よりも」
「この人がお父さんだけれど」
「父親を超えたのは間違いないわね」
「そうだね、七十五年も王位にあったし」
このことも驚くことだ、本当にこの在位に匹敵するのは日本の神武帝から十代の帝の方々だけだ。もっとも実は一年の数え方ではなかったのではないかと言う人もいるそうだけれど・
「もう最後の方は三銃士もね」
「死んでたわよね」
「既にね」
その治世の後半にはだ。
「確か前半位だよ」
「ダルタニャン達の物語で書かれているのは」
「五歳で即位してね」
ルイ十三世が崩御してだ、尚ルイ十三世も父王アンリ四世が暗殺されて幼少で即位しているしルイ十五世も最後のルイ十六世も若くして即位している。どうもそうした因縁がある王朝だったみたいだ。
「それで七十九歳で崩御するから」
「それじゃあね」
「うん、ダルタニャン達が出て来たのは十三世の頃だから」
この王様が成人した後だ、少なくとも物語の中ではそうだ。
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