永遠の謎
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488部分:第二十九話 人も羨む剣その十
第二十九話 人も羨む剣その十
「白鳥の騎士だ」
「陛下がいつも言っておられるローエングリンですか」
「あの騎士ですか」
「それにタンホイザーだ」
次に言うのはこの騎士のことだった。
「そうしたものを前面に出したいのだ」
「ではこうした城ではなくですか」
「また別の」
「そうだ。規模は大きく華麗なものにしたい」
その華麗さについてもだ。王は話す。
「色は白だ」
「白ですか」
「基本になる色は」
「それですか」
「そうだ。白だ」
色はそれだと話してだ。そのうえでだった。
王はだ。己の考えをさらに話した。
「内装はバロックとロココを合わせ」
「フランスも入れられるのですか」
「そうだ。ルイ十四世以降の芸術だ」
それも入れていくというのだ。
「それも入れる」
「ではより大きなものになりますが」
「あの芸術を入れるとなると」
「それでいい。小さくて何かを捨てなければならないのなら」
「大きくされる」
「そうされてですか」
「そうだ。完璧な美を持つ城にしたい」
これが王のその城への願いだった。
「私が考えているのはそうした城だ」
「完璧な美、白鳥の城を前面に出した」
「そうした城ですか」
「そうなのだ。だから大きさは構わない」
そしてだ。さらにだった。
「費用も気にしなくていい。そして」
「そして?」
「他には何が」
「中世の中に科学を入れたい」
今度はそれだった。王はただ過去の美を見ているだけではなかった。
そのだ。科学についてもだった。
「今の時代のだ」
「それを城に入れられるのですか」
「今の科学を」
「例えば白鳥はイミテーションにしろ」
本物ではない白鳥も入れてだった。さらに。
「その白鳥は動き。湖の中を動き」
「あのローエングリンの白鳥の様に」
「動くのですか」
「そうした白鳥にしたい」
「そうですか。動く白鳥ですか」
「現代の科学で」
「他にもだ」
白鳥だけに留まらないというのだ。科学を採り入れるのは。
「厨房や城全体に」
「科学をですか」
「技術を採り入れていかれますか」
「科学は人にとって光だ」
そこにだ。王は明らかな希望を見ていた。
そしてその希望でだ。彼の城を照らさせるというのだ。
その光は。王にとっては。王のその城を照らすものでありだ。
こうだ。彼等に話すものだった。
「その光で私の城を照らしたいのだ」
「だからこそですか」
「科学もまた入れるのですか」
「そうだ。それはどうか」
王は彼等に尋ねた。
「他には泉を照らす照明にもだ」
「科学を入れて」
「そのうえで築かれますか」
「芸術は科学によりさらに輝くものになる」
次は芸術についての言葉だった。
「だからだ。是非だ」
「わかりました。それではです」
「そうして内装の設計を考えていきます」
「しかしあくまで、ですね」
「外装と内装のデザインは」
「そうだ、中世とフランスだ」
王の美はそこから離れることはなかった。あくまでだ。そこに軸があるのだ。
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