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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第百八十七話 鉄仮面その二

「鉄仮面は重要人物だったの」
「そのことは間違いないね」
「ううん、王家の関係者だったことは」
「やっぱり間違いないだろうね、王家と関係なくても」
「相当な秘密を抱えていた人ね」
「だからね」
 その為にだ。
「仮面を着けさせられてね」
「牢獄に入れられていたの」
「しかも相当な身分で」
 このことも間違いない。
「牢屋の中にいても礼儀はね」
「ちゃんとされていたのね」
「それでいたから」
 牢獄のその中にだ。
「身分は相当高かった筈だよ」
「そのことも間違いないわね」
「当時の一般民衆だと」
 それこそだ。
「今でもそうだけれど」
「何かしてもね」
「普通に牢獄に入れてね」
「それで終わりよね」
「そうなるよ」
 もうこのことは確実だ。
「というか口封じならね」
「殺すとか」
「それで終わりだから」
 牢獄に入れても喋る様ならだ。
「大抵の人はね」
「殺すに殺せないからよね」
「そうして牢獄に入れてたんだよ」
 仮面を被せてだ、ただ何か実際は鉄仮面ではなく誰かと会う時にレース状の被りものか何かを被せる様に言われていただけらしい。
「ルイ十四世もね」
「そうだったのよね」
「そのことは間違いないけれど」
「何処の誰かは」
「王様の兄弟説が有力だけれど」
 ルイ十四世その人のだ。
「だから王室の礼を受けていたし」
「ちゃんとなのね」
「うん、それで牢獄に入れられて服とか住んでいる場所はね」
 調度品まであったみたいだ、部屋の中に。
「ちゃんとしていたらしいし」
「じゃあ待遇は」
「よかったのは間違いないし」
 このことは確実だ。
「それにね」
「手紙のこともあったけれど」
 猟師さんが拾ったそれだ。
「死んでからも証拠がね」
「消されたとか?」
「うん、牢獄の壁とかまで徹底的に壊されて」
 そこまでしてだったという。
「そのお部屋を完全に改装する位にまでされて」
「証拠消されたの」
「何処の誰かね」
「つまりそこまでしないといけない人だったのね」
「うん、何処の誰だったかわからない様にね」
「やっぱり尋常な人じゃないわね」
「それで次の王様が鉄仮面のことを知って」
 ルイ十五世、ルイ十四世の曾孫にあたる人だ。ルイ十四世は七十九歳と当時にしては相当な長寿でお子さんもお孫さんもフランスにいる人は全部先立ってしまっていて曾孫であったこの人が次の王様になったのだ。
「今生きていれば出せたってね」
「そう言ってたの」
「そうみたいだよ」
「何かそこにも謎がありますね」
 小夜子さんはルイ十五世のその言葉を指摘した。
「おそらく」
「そうみたいだね」
「ルイ十五世は鉄仮面の正体を知ったのですね」
「うん、ただね」
 この人は知っていたけれどだ。
「次のルイ十六世は」
「あの革命で殺された」
「この人は知らなかったみたいだよ」
 そのフランス革命で断頭台の露と消えてしまった王様はだ。 
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