八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第百八十六話 読書の秋その十二
「戦記ものというかスパイもので」
「出てる作品あったよ」
それも日本を舞台としてだ、先に挙げた北朝鮮がずっと有利な作品でも主人公の一人がそうした工作員だった。
「実際にね」
「やっぱりあったの」
「うん、リアルで疑わしい人もいるからね」
日本にもいるから怖い。
「それも政治家とかマスコミの人で」
「マスコミ多くない?」
「多いだろうね」
何しろこの世界が一番北朝鮮に穏健だからだ、ああした国に対話とか言うけれど凶悪犯に対話が出来ると思っているのだろうか。
「怪しい人テレビに普通に出てるよ」
「そう言われるとそうよね」
「だからね」
「日本を舞台にしてもなのね」
「何か東京って昔からスパイ多いらしいんだ」
冷戦の頃から東京はスパイの密集地帯だったらしい、そして今も。
「日本の首都だけあって」
「そうなの」
「だから外国の人と擦れ違ったら」
人種や国籍や民族問わずだ。
「ひょっとしたらね」
「スパイかも知れないのね」
「リアルジェームス=ボンドもいるかもね」
本当に文字通りにだ。
「イギリスからダブルオー要員が来てるかもね」
「凄いわね、そう思うと」
「まああんな派手な筈はないけれど」
007はあくまで創作だ、能力はともかくとしてあんなに目立つことばかりするスパイがいるとは思えない。
「いるかもね」
「バンコラン少佐とかも」
「ひょっとしたらね」
こちらのダブルオー要員は漫画だけれど答えた、とはいっても何か最近の原作では出て来ないらしいけれど。
「いるかもね」
「そうなのね」
「いてね」
そしてだ。
「活動しているかもね」
「そう思うとスリリングね」
「スリリングなんだ」
「ええ、スパイ小説みたいにね」
まさにフレミングの世界だというのだ。
「そう思えたわ」
「そうなんだ、そういえばね」
「そういえばって?」
「007って日本の工作員やっつけたりね」
当時イギリスと日本は敵同士だったからだ、第二次世界大戦の頃はそうした間柄で激しい戦争も行ったのは第二次世界大戦のことだ。
「映画ではね」
「あっ、日本に来てね」
「日本の諜報部員と共闘してるよ」
「敵になったり味方になったり」
「日本とはそうなんだ」
作品によってそこは違う。
「まあそこの日本の諜報部凄いけれど」
「確か」
ここで小夜子さんが言った。
「丹波哲郎さんが演じた」
「うん、専用の地下鉄とか持ってる」
「物凄い組織でしたね」
「かなりお金があるね」
専用の地下鉄とか持っている位にだ。
「凄い組織だよ」
「実際に日本にそうした組織は」
「ないんじゃないかな」
「ないですか」
「あっても公にはね」
表にはだ。
「出ていないみたいだよ」
「そうですか」
「こうした組織は表に出ないから」
裏の世界がスパイの世界だ、それでおおっぴらに名前が出て有名になっては活動も出来たものじゃない。
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