原作(オリジナル)の主人公、略してオリ主
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第06話 図書館ではお静かに 後編なの(高町なのは@5歳)
前書き
どうしてプロット(らしきもの)の通りに話が進まないんだ・・・
藤原高貴の独白 No.02
あ、ありのまま今起こっていることを話すぜ?
『俺はなのはを見つけたと思ったら
なのはが声を上げて泣いている』
な・・・ 何があったのか わからねーと思うが
俺も何があったのかわからない・・・頭がどうにかなりそうだ・・・・
よし、オーケー、落ち着いて現在の状況を把握しよう。
まず、なのはの傍にはやてが居るということは、なのはは恙無くはやてを発見して接触を試みたんだろう。
周囲に居るのがはやて一人で、必死でなのはを泣き止ませようとしていることからも、なのはを泣かせたのははやてだと推測される。
しかし、あの(・・)なのはを大泣きさせるなんて、一体はやては何をしたんだ?
・・・もしかして、はやても転生者なのか?
しかし、それなら尚更なのはは感情より理性を優先して話をしようとするだろう――あるいはそれほど手酷くやりこめられた、か?
これ以上はこうして考えていてもわからないな。
-------------------------------
純文学コーナーの書架の前にて、車椅子に乗った少女と涙と鼻水でトレーナーをぐちゃぐちゃに汚した幼女が、本のことなどそっちのけにして重苦しい雰囲気で話をしている。
厳密には、トレーナーをぐちゃぐちゃにした幼女――高町なのは――が一方的に暗い雰囲気を醸し出しており、車椅子の少女――八神はやて――はそれを気遣うような、気まずいような、そんな感じでなのはに話しかけていると言う構図である。
「――で、落ち着いたか?」
「うん。。。」
「あー、なんや、悪かったな?」
「うん。。。」
「そ、そんでな?うち、あんたと、とっ友達になってもええで?」
年上のお姉さんの面目躍如といったところだろうか。まずは自分から謝り、その上で仲直りして友達になろうよ、と歩み寄りを見せるはやて。
「うん。。。」
しかし、仲良くなれると思っていたはやてちゃんにいきなり嫌われてしまったショック、図書館で声を上げて泣きに泣いてしまったショック、、、考えれば考えるほどドツボに嵌っていくような様々な自己嫌悪に苛まれ、はやてのいっぱいいっぱいな気遣いに上手く乗れないなのはさんであった。
「(ピクッ)そ、そんなら、うちとあんたはもう友達な。
あは、あはは、そうや、自己紹介もしてないのに友達なんておかしいなあ。自己紹介せな。うちは八神はやてって言うんや。あんたは?」
せっかく年上の自分が歩み寄る姿勢を見せて――友達になりたいという要望に応えようとして――やったのに、気のない返事をするクソガキ@5歳。
苛立ちで年上の威厳が吹き飛びそうになったが、何とか堪え、自己紹介イベントを開始しようと・・・・・・
「うん。。。」
「(ブチッ)」
は、はやてさん?
「あの、なのh「しゃっきりせんかい!なんや、さっきからメソメソグズグズ!うちはそんなガキが一番嫌いや!!」
ふぇっ・・・ひぅう・・・・」
―はやての自己紹介中断攻撃!
―なのはは必死で涙をこらえている。
「(プルプル)なの、ヒック、なのは、、、たっ、たかまちなね、ぐずっ、たかまち、、えっぐ・・・・」
「(・・・あかん、やってもうた。。。)」
5歳児を2回も泣かせることになり、途方に暮れる6歳児。年上の威厳(笑)
実にカオスな状況である。事態はもはや、八神はやてには収拾不能であろう。
そんなカオス空間に颯爽と――タイミングを窺っていただけなのだが――騎兵隊が到着。
「――なのは。こいつの名前は高町なのはっていうんだ。なのはって名前で呼んでやってくれ。そうしてくれるとなのはも喜ぶ。」
もちろん登場したのは藤原高貴、その人である。なのはとはやての友情が成立する瞬間をハラハラしながら影で見守っていたのだが、自分のフォローが必要になったと判断し、即座に飛び出してきたのである。
そして登場するや否や、泣き虫の頭を撫でて落ち着かせつつ滞ってしまっていた自己紹介を完璧に――定番の「名前を呼んで」まで――代行してみせる三面六臂ぶり。
そのリリーフとしての見事な仕事には全国の野球ファンも関心することしきりであろうがどこもおかしくはないな。
「ぐすん、、、コ、コウくん・・・?」
「はいはい、藤原さんですよ。
それで?なのはと・・・そっちの、、、
おっと、まずははじめまして、だな。俺の名前は藤原高貴。まあ、藤原さんでもコウくんでも呼び名は適当でいい。」
「・・・うちは八神はやてや。呼び方は好きにして。」
「じゃあ、八神さんで「さんは付けなくてええ。」・・・なら八神だな。
それで八神?なのはと一体何があったんだ?まあ、二人が友達になったのはわかったんだが。」
「いや、特に何もなかったで?なのはちゃんと普通にお話して友達になっただけや。」
やや早口ですっとぼけた答えを返すはやて。6歳児が5歳児にきつく当たって2度も泣かせたなんて話は蒸し返したくないだろうから当然の振る舞いである。
しかしその答えでは、はやてが転生者ではないかと疑っている高貴を納得させられないのもまた事実である。
もっとも、そこで無理に反駁するような真似はせず穏当な手段ではやてへの疑念を晴らそうとするあたりが、なのはをして高貴を良識的と言わしめた由縁である。
「なのは、何があったんだ?」
「は、はやてちゃんの言ってることは本当なの。
お友達になれないって言われて悲しくて泣いたりなんかしてないの!」
「・・・そうか。」
見事な自爆であるがどこもおかしくはない。余計なツッコミを入れるような真似はせず、黙ってなのはの頭を撫でる高貴。
現在、彼のなのはを見る目は非常に優しいものとなっている。そう、まるでアホの子を見守るような、、、俗に言う生暖かい目線というやつである。
勿論なのはさんはそんなことには気付かず「ふにゃー」とかなんとか変な声と魔力光を漏らしてタレていた。駄目だこの主人公、早く何とかしないと・・・
「あの、なのはちゃんの体が光ってるのはなんでなん?」
駄目だこの主人公、早く何とかしないと・・・
「にゃっ?!
えっとね、あのね、これはね・・・あのね・・・
そう!コウくん、コウくんが知ってるの!!」
―なのはさん@ぽんこつモードの丸投げ攻撃!
―藤原君はテンパった!
本当に駄目だこの主人公、早く何とかしないと・・・
-------------------------------
そして話の舞台は図書館から八神家へと移る。
魔力光、リンカーコア、魔法などという物騒極まりない話題を図書館のような公共の場で採り上げるべきではない。
そんな極めて常識的な判断に基づき、場を改めることを藤原君が提案したのだ。藤原君、本日2度目のファインプレーである。
八神家を初訪問した2人と帰宅した1人、計3名の子は、はやての私室に集まっていた。
何故かなのはの服装が変わっていたりするが、紳士たるものそのような細かいことを気にしてはならない。
漏らしていたのは魔力光だけではないのかもしれない、その可能性を示唆するに止めておく。全国の紳士諸君にはそれだけで全てを解していただけるはずだ。
あえて言おう!情け容赦無く自己紹介を中断させ(怒鳴りつけ)たはやてのファインプレーであると!!
「それで?なんなん?あの光は。」
「あれは『気』と呼ばれるものだ。」
――八神家へ向かう最中にある程度の問答を想定していた高貴はここでさらりと嘘をついた。
「『気』って、ドラxンボールとかに出てくるあの『気』なんか?
んなアホな・・・って言いたいところやけど光の色からしてそんな感じやったなあ。」
「ああ、なのはの家に伝わっている武術の奥義の一つでな。何しろ奥義だから存在を秘匿することになってるんだ。八神が知らなかったのも無理はない。」
――とほぼ事実に近い、それ故に真実味のある理由を挙げ
「本来『気』は厳しい鍛錬の末に(一部の才能ある人間が)習得するものなんだが、なのはは小さい頃から言語に絶する滅茶苦茶な修行をしているからな。。。それこそ立てるようになった時から修行が始まってたんじゃないか?」
――事実と嘘と不作為を交えた答弁を行い
「だから、そんななのはの友達は少なくてな。八神でやっと2人目なんだ。これからも、仲良くしてやってくれ。」
――なのはの数少ない友人だというはやての立場を強調した上で、頭を下げ、遠まわしに"はやては、なのはの不利益になるようなことはしないよな?"とプレッシャーをかける。
「そ、そうなんや。
・・・それで、なのはちゃんは気を使ってどんなことができるん?」
「基本的には武術の延長だな。人より速く動けたり、高く跳べたり、そのくらいだ。
気は『魔法のような不思議パワーってわけじゃない』から、出来ることなんか片手で数えられるな。」
「なんや、そうなんか。ドラxンボールみたいに空飛んだり、かxはめ波撃ったり出来ると思っとったわ。」
「どっちも無理だ。漫画の中の『気』とは違って、応用の範囲はかなり狭いな。」
繰り返すが、ここまでの高貴の言には誤りが多い。
そもそもなのはが使っているのは魔力であって気ではないし、修行を始めてから2年も経っていない。無論これらの錯誤は意図的なものである。
その目的は言わずもがな、既に八神家を監視し始めているやも知れぬ管理局がグレアム一派になのはの魔法資質を悟られないようにすることである。
もっとも、ロッテリア姉妹が直接監視していた場合などは無駄な努力だったということになるのだが・・・
『気』の存在を明かしてしまったのも高貴の本意ではなかったが、魔力について説明させられるよりはマシであるという判断だ。
それに、御神流の名前はおろか、剣術流派であることすら明かしていない点からも高貴の苦慮が窺える。
そう、事ここに至って高貴は激しい焦りを感じ、悩んでいた。
デバイスを所持していないなのはと高貴の2人には探索魔法が使えない。即ち八神家とその周辺に施された監視網を探知することが出来ないということだ。
既にグレアム一派は闇の書を発見しているのか?どのような監視網を構築しているのか?何をどこまで話すべきなのか?
最悪のケースを想定し、はやてに渡す情報を可能な限り制限したのは必然と言える行いであろう。場を改めたは良いが、改めた場が八神家だというのが痛かった。
なのはの諸事情で一刻も早く着替え、、、とにかく、その時は八神家が一番良いと思われたのだ。焦りが焦りを生む典型例である。
「――ま、そんな感じだ。繰り返すが、『気』は奥義だから、他言は無用で頼む。
急な訪問だったし、そろそろいい時間でもあるから今日はこのへんで帰るわ。
家族の方に挨拶をせずに帰るのは申し訳ないがな。」
下手を打つ前に素早く話を切り上げ、辞去しようとする高貴。
行きがけの駄賃とばかりに、はやてに家族の話題を振り本日の目的であった情報収集を試みるあたりは相当に強か、本日3度目のファインプレーである。
さり気なくはやてに機密保持の意識を植え付けた弁舌といい、こいつが5歳とか最早とんでもない年齢詐欺である。
やはり転生者は存在自体がチートなのではないだろうか?全然出番がない転生特典とか存在価値あるのか?
「ええよ、ええよ。今日は3人一緒に出かけててな。帰ってくるのは遅くなる言うてたしな。」
「・・・・・・へえ、兄弟がいるんだ?
今度服を返しに、、、遊びに来た時に会えるといいな。」
「ああ、お兄ちゃn、兄がおるんや。なんや爺むさい兄やから、あんたとも話が合うと思うで。」
「俺ってそんなに爺むさいか?まあいいや。なのは、帰るぞ。
――なのは?」
自分自身の話題であるにもかかわらず、ここまで一度も発言することがなかった我らが主人公、高町なのはさん。
その沈黙の秘密が今こそ明かされるっ!
「・・・寝とるな。」
「寝てるな。」
「ホンマに気持ち良さそうに寝ておるな。」
「ああ。疲れていたのかもしれん。」
おっと、藤原さん、その発言はマイナス。減点です。「(泣き)疲れていたのかもしれん。」って遠まわしなイヤミに聞こえますよ?
事実、はやてさんも何となく気まずそうにしています。
「・・・うちはなのはちゃんが起きるまでいてくれてもかまわへんよ?」
「いや、負ぶって帰るからいいよ。気持ちだけ受け取っておく。じゃあ、またな。」
「そうか。ほなな。」
しかし、「三十六計逃げるに如かず」や「兵は拙速を聞く」の地を行く所作で――気まずそうなはやてをスルーして――帰宅の途、いや、なのはを送って行く藤原君であった。
なのはを軽々背負って帰る姿が「あれも『気』なんかな」などと思われているがそれはいいのか?いいのか。
結局、なのはは高町家に到着するまで目を覚まさなかった。
高貴ほどではなくとも、なのはの体にも少なからず疲労が溜まっていたのであろう。
――友達と一緒にお出かけし、思い切り泣いて、ぐっすり眠る。そして、2人目の友達が出来た。
なのはにとっては、なかなか充実した休息日だったのではなかろうか。
寝ぼけたなのはが服を掴んで離さず、そのままズルズルと高町家で夕食&お泊りのコンボを受けることになった藤原君は、終日恭也に睨まれ続けて大変だったようであるが。
後書き
はい、なのはさんのO☆MO☆RA☆SHI回でした。
2回目に泣いた理由?もちろんO☆MO☆RA☆SHIです。
3人目の転生者が出てくる予定で前編(の前編)を書いていたんですけどね。
はやてが勝手に動きだしてなのはをガチ泣きさせた挙句、聖水プレイを強要という大暴走の結果がこれです。
藤原君が必死こいて魔法バレ対策、管理局対策してるのに
O☆MO☆RA☆SHIして寝てただけのなのはさんェ・・・
本当に駄目だったこの主人公・・・・
最近なのはさんがどこを目指しているのかわからなくなってきました。
普通になのは最強orなのは魔改造ものが書きたかったはずなのに、どうしてこうなった?
まあでも、エンディングまでの大筋にはまだエラーが発生してないんで完結は出来る、はず。
なのはさんの活躍度が減りそうで困ってるという話なわけだす。
そして藤原君の想定外の軍師っぷり。こんな優秀なキャラにする予定はなかった。何度も言うが書きたかったのはなのは無双なんだ。
せっかく第04話?でなのはさんによる魔改造フラグを立てたのに、このままだと勝手に進化してなのは無双シーンをまた一つ消しそうな勢い。
ま、まあ、エミヤって中の人の頭が残念だと一気に雑魚化する器用貧乏職ですもんね。
オールラウンダーは少し頭の回転が速いくらいがデフォですよね。自分で選んだジョブなんだから、ある程度の適正があるのは当然ですね。そうですね。
ページ上へ戻る