八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第百八十六話 読書の秋その七
「書かれるべきだよ。坂本龍馬みたいに」
「ああした痛快な方としてですか」
「書かれてもいいんじゃないかな」
折角有能なだけでなく気さくで器も大きくてユーモアもあるのにだ。
「最後も目立つものだったし」
「日本の運命を大きく変えてしまった」
「そんな結末だったからね」
そのことも考えるとだ。
「いい主人公としてね」
「より書かれるですね」
「そう思うよ。半島に総督として乗り込んだ時とか」
資料を読んでいるとだ。
「もう凄いから」
「有能さがですか」
「一人だけ桁外れに有能でね」
当時の李氏朝鮮、大韓帝国と名前を変えていたけれどこの国の官吏が皆旧態依然とした状況だったせいでだ。
「快刀乱麻というか」
「そんな活躍でしたか」
「そうだったからね」
「その時のことも」
「書いて欲しいね」
ネット小説で誰か書いてくれないか、僕は心の中で思った。
「本当にね」
「面白そうですね」
「うん、ただこれを本に出すと」
「クレームが来ますか」
「来るね」
とある筋からだ。
「確実に」
「だからですか」
「本には出来ないから」
ネット向けの話かとあらためて思った。
「例え史実でもね」
「クレームがあるので」
「あの時本当に凄かったけれど」
伊藤博文さんの活躍たるやだ。
「本には出来ないね」
「小説でもですね」
「教科書じゃ非人道的統治を行ったって言われてたけれど」
これがだ。
「全然逆でね」
「その圧倒的な能力で」
「奴隷制は終わらせるし」
あの国は奴隷までいた、貴族が横暴を極めていた典型的な腐敗しきった国だったのだ。
「重税も残酷な刑罰もね」
「そうしたものもですか」
「終わらせるきっかけを作ったから」
それでだ。
「少なくともね」
「善政だったのですね」
「大改革をはじめたから」
後の併合後の統治につながるそれをだ。
「もうね」
「凄かったのですね」
「凄いというかね」
まさにだ。
「日本でしたことを踏襲したんだ」
「そうした統治でしたか」
「そうしたらね」
本当にそれだけでだ。
「奴隷制を終わらせてね」
「善政になっていましたか」
「それこそリンカーンとワシントンを合わせたみたいな」
アメリカで言うとだ。
「凄いことをやったんだ」
「では伊藤博文という人はあの半島を」
「心から心配していたんだね」
「それで日本でしてきたことをですね」
「またしたんだよ」
「そうでしたか」
「普通にいい人だったから」
確かに女好きだったけれどだ。
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