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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第百八十六話 読書の秋その六

「半島防衛にね」
「二個師団置いたの」
「そうだったんだ」 
 勿論その分のお金と人手も必要だ。
「その話で内閣三つ潰れたから」
「それ教科書でも書いてたわね」
「二個師団増設問題ですね」
 美沙さんも小夜子さんも応えてくれた。
「一九一二年の」
「あの話ね」
「いきなりそれだから」
 どうも多くの教科書では陸軍の横暴だと言われている様だけれど実際は陸軍にしても責任感があって主張したのだ。
「それで内閣三つ潰れてるし」
「そしてそれで終わりじゃなかったのよね」
「はじまりに過ぎなかったから」
 内閣が三つ潰れた大騒ぎがだ。
「もう終戦までね」
「お金と一使って」
「そんなのだったから」
「併合しない方がよかったわね」
「ずっとね、大赤字のままだったから」
 それで三十六年間統治したのだ、東北の人がそんな金と人手は東北に回して欲しかったと言っていた。
「それで今ああだから」
「大損もいいところね」
「そうだよね」
「そう思うと伊藤博文さん凄いわね」
「先見の明があったよ」
 本当にこう思う。
「あの人の言う通りに併合してなかったら」
「日本の歴史は変わっていたわね」
「大きくね」
 財政、内政、外交、国防での大きな重荷になっていたのだ。それがなかったら本当にどうなっていたか。
「なっていたと思うよ」
「じゃあ伊藤博文さんは」
「本当に偉大な政治家だったよ」
 まさに当時世界屈指のだ。
「幕末は沢山の人が死んだけれど」
「この人が生きていればという人がね」
「そうだったけれどね」 
 橋本左内もそうだし他にもそうした人が多い、それは坂本龍馬もだ。
「あの人が生きていてくれたから」
「かなり助かってたのね」
「そう思うからね」
 だからこそだ。
「僕はあの人が好きなんだ」
「それであの頃の本も読んでるの」
「うん、出来たらね」
 僕はこうも考えている。
「もっとあの人が大活躍する本を読みたいよ」
「そういえば少ないのでは」
 小夜子さんが首を傾げさせて言ってきた。
「伊藤博文さんが主人公として活躍する作品は」
「そうだよね」
「日露戦争を扱った作品でも」
「凄く魅力的な人なのにね」
「脇役か悪役ですね」
「酷い場合小物なんだよね」 
 そうしたキャラであることもある。
「小悪党っていうか」
「小悪党ではないですね」
「全然違うよ」
 大物中の大物だ、しかも悪人と言うには性格的に善の部分が多いし明らかに日本への偉大な貢献がある。
「あの人は」
「そうですね。ですが」
「日露戦争では東郷平八郎さん達が主役だし」
 乃木大将や児玉参謀といった人達の場合もある。
「秋山兄弟とかね」
「ですが伊藤博文さんは」
「扱い小さいんだよね」
 その時代で最大の政治家だったのにだ。
「というか日露戦争の時ロシアと同盟すべきって考えていたから」
「日英同盟が現実的でないと考えていて」
「それで余計なことするポジションだから」
 こう書かれている場合も多い。
「何か主人公の作品少ない人だよ」
「その功績と比較して」
「どうもね」
「そう思うと残念ですね」
「うん、もっとね」
 今より遥かにだ。 
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