夢幻水滸伝
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第七十四話 南からその六
「戦よりも政の人だったでごわす」
「はい、西郷どんは政の人だったでごわす」
「学問ば収めちょりまして」
「それで棟梁どんもでごわすな」
「政が出来るでごわすか」
「そうでごわすか」
「そうかも知れんでごわす、そして政が出来るなら」
戦よりも出来るならというのだ。
「どんどんやっていくでごわす」
「そうされますか」
「ほな」これからも」
「どんどん政していきますか」
「薩摩と大隅を」
「そして日向も攻めていくでごわす」
この国もというのだ。
「あと種子島の領主も降ったでごわす、あそこも治めて」
「はい、日向を攻めて」
「そうして」
「あと南の島々もでごわす」
その辺りもというのだ。
「奄美大島、そして琉球を」
「そちらもですか」
「攻めていきますか」
「あの辺りが戦うなら、しかし」
ここでだ、北原はこう言った。
「聞いた話でごわすが」
「はい、琉球にもおりもっそ」
「星のモンが」
「何でも人の星っちゅうことですが」
「出て来てすぐにでごわす」
「琉球と奄美の島々全部一つにして治めているでごわす」
「それで万全に治めているとのことです」
二国の者達は北原に口々に話した。
「それで結構な勢力になってるとか」
「日本や中国、南洋ひいてはアメリカと貿易してかなり儲けているとのことです」
「相当な勢力とのことです」
「そうでごわすな、ではまずはでごわす」
北原は琉球の話を聞いて述べた。
「これからは」
「はい、それでは」
「日向を攻めつつですか」
「そして」
「琉球に人をやるでごわす」
そちらはそうすると言うのだった。
「それ次第によってはでごわす」
「あの地も攻める」
「そうするでごわすな」
「戦よりも話で話が決まればいいでごわすが」
しかしと言うのだった。
「どうもおいどんのこれまでのことを思うと」
「戦になり」
「そうお考えでごわすか」
「そうでごわす、けどこれは薩摩っぽのこと」
薩摩隼人、俗にそう言われる者達の国だからだとだ。北原はこうも思ってそして自分の前にいる者達に言うのだった。
「この日本でも特別血の気の多い」
「薩摩隼人はいくさ人でごわす」
その薩摩の者のうちからエルフの若者が言ってきた、エルフといっても薩摩隼人でありその根底にあるのはいくさ人の血だった。
「ですから」
「それで、ごわすな」
「はい、まず一戦を交えんと」
そうしなければというのだ。
「納得出来るものも出来んでごわす」
「そうでごわすな」
「それは大隅も同じでごわす」
今度は大隅生まれの蛇人が言ってきた。
「やっぱり勝負をせんと」
「納得出来んでごわすな」
「それで相手の力を見極めてでごわす」
そのうえでというのだ。
「降るにしてもそれからでごわす」
「そうでごわすな」
「だからでごわす」
「薩摩モンはまず戦でごわすな」
「一対一でも」
それでもというのだ。
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