夢幻水滸伝
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第七十四話 南からその四
「おはんの思うもんで勝負でごわす」
「おいどん一人でおはん等全員相手にして勝つ」
「それで出来るのは星のモン位でごわす」
「それだけの腕力と体力があるのは」
「そうでごわす、それ見せてもらうでごわす」
「そしてそれが出来たら認める」
「おはんを星のモンと」
まさにというのだ。
「そしておいどん達はおはんに従いまっそ」
「そうするでごわすか」
「そうでごわす、これでどうでごわす」
「わかったでごわす」
北原も頷いてだ、そうして彼はその二才に言った。
「西郷さんは剣ば使えんかったでごわす」
「西郷さん知ってるでごわすか」
「こっちの世界では薩摩の守り神でごわすな」
「そうでごわす」
「おいどんの世界では偉人、凄い偉い人でごわす」
「そんで西郷さんが剣ば使えんかったって知ってるでごわすか」
「そうでごわす、そしておいどん西郷さんを尊敬していもっそ」
このこともだ、北原は話した。
「素晴らしい人と思いもっそ」
「神様だけあってでごわすな、ほな剣でなくて」
「相撲か柔道でかたつけもっそ」
「そのどれかで」
「相撲にしもっそ」
それでと言ってだ、北原は決めた。そしてだった。
北原は鶴丸城の中にあった土俵まで案内された、そこで二才達と勝負をすることになった。すぐに力自慢の二才達がだった。
「おいどんが行くでごわす」
「いや、おいどんが最初でありもっそ」
「おいどんがでごわす」
皆我が我がという感じで言い合う、そこには勝負ごとを心から好む薩摩隼人らしさが実によく出ていた。
その彼等にだ、北原は相手であるが言った。
「争うことはないでごわす、くじ引きかジャンケンで順番を決めるでごわす」
「それで順番にでごわすか」
「おいどん達の相手ばしてくれる」
「そうするというでごわすか」
「そうでごわす、だから争う必要はないでごわす」
こう彼等に言うのだった。
「順番を決めてそれで来るでごわす」
「そうでごわすな、じゃあくじ引きでごわす」
「それで決めもっそ」
「そのうえで順番で勝負に挑むでごわす」
「そうするでごわす」
二才達も北原の言葉を受けてだ、そしてだった。
実際にくじ引きをして順番を決めた、そのうえで北原と勝負をするが二才達は次から次にあっという間にだった。
北原に投げられ張り倒されていった、北原は腕自慢の二才達を次々とほぼ一瞬で倒していった。そして気付いた時には。
二才達は全員敗れていた、それで驚いて言うのだった。
「おいどん達全員倒したでごわす」
「しかも汗一つかいちょらんでごわす」
「こんな強い奴ははじめてでごわす」
「全くでごわす」
「いや、まさかでごわす」
相撲の前に北原に言ってきた二才が北原に言ってきた。
「おいどん達全員を倒すとか」
「思わんかったでごわすか」
「そんなこと出来るのはまさに星のモン」
そこまでの強さがあるのはというのだ。
「それだけでごわす」
「そうでごわすか、しかし」
「しかしとは」
「おいどんが星のモンって証は神具でごわすな」
「それはそれぞれの星のモンだけが使えるでごわすな」
「その話聞いてるでごわすか」
「有名な話でごわす」
こう北原に言うのだった。
「この薩摩でも」
「そうでごわすか、おいどんは今頭の中の声を聞いたでごわす」
今回もそうなったのだ。
「そしてその神具はでごわす」
「何でごわすか」
「これと」
まずは鬼の金棒を出した、実に大きくそして重い。
ページ上へ戻る