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永遠の謎

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444部分:第二十七話 愛を呪うその十四


第二十七話 愛を呪うその十四

 王にしても納得できたことだった。そのうえでだ。
 王はだ。天使と城からだ。こんなことも話した。
「私もやがてはあの城に入ってだな」
「はい、陛下とです」
「私は天使達にも祝福されるのか」
「ですから。その時を待っていて下さい」
「そうさせてもらう。この苦しい世に耐えながら」
 そうした話をしてだった。騎士は王の前から去ったのだった。
 王は一人になって暫くその場に残っていた。だがだ。
 やがて一人小さく頷きその場を後にした。その次の日だった。
 王はある決断を側近達に話した。それは。
「えっ、まさか」
「それはまことですか!?」
「あの、それは」
「幾ら何でも」
「私は決めました」
 王の言葉は強かった。
「最早それはです」
「できないと」
「そう仰るのですか」
「御婚礼をですか」
「されませんか」
「はい。ゾフィー公女との婚礼は破棄します」
 このことをだ。王ははっきりと口にした。
「そうさせてもらいます」
「しかしそれは」
「それをされるとです」
 側近達は王の言葉を聞いたうえでだ。狼狽してだった。
 そのえうでだ。必死になって王に言った。
「大公もお気持ちを悪くされます」
「国内では陛下の御成婚を誰もが楽しみにしています」
「同時に結婚しようという者達もいます」
「そして各国もです」
「どう思うのか」
「それを考えますと」
「わかっています」
 わかっていても。それでもだというのだ。
「そのことは全て」
「それならです」
「あの、思いなおして下さい」
「さもなければ大変なことになります」
「どうか御成婚をです」
「されて下さい」
「いえ、しかしです」
 王の言葉は変わらなかった。
「私は結婚はしません」
「婚礼を破棄されますか」
「あの、どうしてもですか」
「そうされるのですか」
「思いなおされはしませんか」
「愛そうと思いました」
 彼等にもだ。このことは話した。
「しかしです」
「愛せないからといってもです」
「それでも。君主の結婚というものはです」
「愛がなくともです」
「必ず」
「それが許せないのです」
 また言ったのだった。王は。
 苦しい様な顔になってだ。そのうえでの言葉だ。
「愛のない結婚なぞ何になりますか」
「ですから君主の務めです」
「例えどうであろうと伴侶は必要なのです」
「ですから」
「いえ、私はしません」
 また言ったのだった。拒む言葉を。
「それはもう変わりません」
「どうしてもですか」
「それは変わらないのですか」
「御気持ちは」
「申し訳ないと思っています」
 その気持ちもあった。実際に王の顔が歯噛みするようなものになる。
 その顔でだ。王はまた言った。
 
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