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永遠の謎

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443部分:第二十七話 愛を呪うその十三


第二十七話 愛を呪うその十三

 しかしだ。それでもだった。
 まだこの世で生きなければならない。そのことを頭の中に入れてだ。
 そしてだった。今度はこう言うのだった。
「最後の審判が待ち遠しい」
「永遠に召されるその時が」
「少なくともこの世にいたくない」
 心からだ。そう思いはじめていたのだ。
「人もだ。人は欺き裏切る」
「それが人の性だからこそ余計に」
「いたくない」
 またこうした言葉を漏らす。
「ましてや。婚姻を結びだ」
「常に奥方と呼ばれる方と共にいるのは」
「すぐに召されてしまいたい」
 ここまで言うのだった。
「そんなことになれば」
「そうですね。陛下にとっては」
「愛そうと努力した」
 ゾフィーをだ。
「しかしできなかった」
「陛下が陛下であるが為に」
「そうだ。できなかった」
 こう言うのである。
「それはどうしてもだ」
「陛下は一人の女性を愛する運命にはないのですから」
「では何を愛する運命か。まずは卿で」
「ドイツもですが。そして」
「それ以上に。私が最も愛する対象は」
「美です」
 それだというのだ。この永遠にして絶対のものだというのだ。
「美こそがです。陛下が愛されるものです」
「この世でも。次の世でも」
「そうです。ではその至上の美を愛される為に」
「今は生きるか」
「そうされて下さい」
「生きることも苦しい」
 王は俯いて言った。
「それだけで」
「ですがそれも陛下の務めです」
「私がこの世で為すべきことを為す為にだな」
「その通りです。ですから」
「だが。私はもう人は」
 人に対しては。王は。
「信じられない。殆んどの者が」
「しかしそれでもです」
「そうだな。果たすことを果たさなければならない」
「そうされて下さい」
 そうした話をした。そうしてだ。
 話が終わるとだ。騎士は王にまた一礼し。こう言ったのだった。
「では。お邪魔しました」
「帰るのか」
「そうさせてもらいます」
「卿のその世界にだな」
「小鳥に曳かれる舟に乗り」
「あの舟だな。そういえばだ」
 騎士の小鳥という言葉にだ。王は反応した。
 そうしてだ。その小鳥についてだ。王は尋ねた。
「あの小鳥は何なのだ?白鳥はあの少年だったが」
「小鳥は舟を曳かないからですね」
「そうだ。ではあの小鳥は何なのだ」
 王が問うのは些細なことだが重要なことだった。
「一体」
「モンサルヴァートにいる者です」
 騎士は微笑み。王にこう答えた。
「あの城にいる者です」
「それは人なのか」
「天使です」
 それだとだ。騎士は答えた。
「天使があの姿になってのことです」
「そうか。あれは天使だったか」
「私を導いてくれて。そして」
「あの城に導いてくれているのか」
「それがあの小鳥なのです」
「わかった」
 そこまで聞いてだ。王は頷いた。
 
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