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夢幻水滸伝

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第七十三話 荒波を見てその十

「川が少ないぜよ」
「それで水田を置くにも苦労するので」
「それで、ぜよ」
 そのせいでというのだ。
「貯水の為の池が多いぜよ」
「人工の池ですね」
「そうなってるぜよ」
「それがこの讃岐ですね」
「それで食いものもうどんが多いぜよ」
 讃岐といえばそれというこれがというのだ。
「そうなっているぜよ」
「左様ですね」
「水をどう確保するか」
 このことがというのだ。
「それはどの国でも大事じゃがのう」
「この讃岐では特にですね」
「どうもまだ貯水の池が少ないぜよ」
 ここでもだ、正岡は右目を瞑って言った、顎に右手を当ててその右手は着物の前から出している。彼独特のポーズだ。
「だからぜよ」
「池を増やしていきますか」
「そうしたら雨が降った時に水が溜まるきに」
 それでというのだ。
「そうするぜよ」
「それでは」
「ここはそうしてぜよ、勿論阿波もぜよ」
「はい、あの国もですね」
「掌握間近じゃが」
「内政も進めていきますね」
「そうしていくぜよ、そしてじゃ」
 さらに言う正岡だった。
「戦の用意もするぜよ」
「上洛を目指されますか」
「神星いうても器は知らん、若しウと話じゃなかったら」
 その時はというのだ。
「わしが日本を統一するつもりじゃきに」
「それで、ですね」
「上洛の用意ぜよ、そしてじゃ」
「山陽、九州にもですね」
「備えておくぜよ」
 そうした他の勢力にもというのだ。
「これからは」
「はい、海を隔てていますが」
 織田も正岡に応えて述べた。
「しかしです」
「その海から来るからのう」
「我々も近畿には水軍を出すつもりですし」
 そうして攻めるというのだ。
「ですから」
「海の護りは万全にぜよ」
「していかれますね」
「そうぜよ」
 まさにとだ、正岡は織田に答えた。
「そうしていくぜよ」
「それでは、山陽と九州への備えもですね」
「伊代を中心にしていってぜよ」
「近畿を攻めて上洛もしていきますね」
「それが今の戦略ぜよ、近畿は敵に囲まれちょる」
 彼等の敵は自分達だけではない、正岡はこのことを既に見抜いていた。
「わし等が付け入る隙は充分にある」
「近畿、関西とも言っていいですが」
「あっちはじゃな」
「はい、日本の中心にあるので」
「人口も多くて産業も港もええが」
「しかしです」
「あちこちの敵がおる」
「はい、ですから」
 それでというのだ。
「正岡さんの言われる通り」
「あそこには付け入る隙があるぜよ」
 関西にはというのだ。
「だから攻めるぜよ、しかし」
「神星の方がお二人となると」
「これは鬼ぜよ」
 こう言うのだった。 
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