銀河酔人伝説
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酔っ払い、宴会を企画する
前書き
本当は1話でまとめようと思ったのですが、長くなりそうだったので分割することにしました。
同盟軍屈指の大作戦、第5次イゼルローン要塞攻防戦が失敗に終わった後も、泥沼の戦いは続けれらていた。ヴァンフリート星域会戦、第6次イゼルローン要塞攻防戦、第3次ティアマト星域会戦、第4次ティアマト星域会戦など、度重なる大規模な会戦が行われてたが、その何れも帝国軍を追い返したという事実だけでは済まされない損害を同盟軍は負うことになった。政治ではその場凌ぎの決定が乱発され、経済ではギリギリの崩壊は回避されながら衰退していた。長き戦争の影響は同盟社会そのものに及び、確実に蝕んでいったのである。
第4次ティアマト星域会戦後の宇宙歴795年10月、ハイネセンのとあるホテルの一室でパーティーが行われていた。
参加者には自由共和党のヨブ・トリューニヒト国防委員長、ネグロポンディ議員、ウォルター・アイランズ議員、同盟民主党のジョアン・レベロ財務委員長、社会改革党のホアン・ルイ人的資源委員長、そして新たに国防委員会委員に任命されたグレゴリー・カーメネフの他各党の議員達がいた。
「今日はアルコール類との健全な付き合いを推進する議員連盟の記念パーティーに参加していただきありがとうございます。私が会長を務めさせていただいているグレゴリー・カーメネフであります。今回のパーティーは、昨今問題となっている同盟社会の風紀の乱れの原因と叩かれていた、アルコール類に対する誤解の払拭と、健全な付き合いに対する認知度を高めること目的として企画しました。アルコールとは人間の堕落の象徴ではなく、人間が人間らしく生きるために不可欠な清涼剤であるという事、そして健全な付き合い方を広めることで風紀の乱れを正し、社会の活性化が成されると私は信じております。それでは同盟の更なる発展を願って乾杯!」
グレゴリーの乾杯の音頭と同時にパーティーは始まった。
「しかし、お前さんがトリューニヒト達が参加するパーティーに来るとは思わなかったよ。」
「私は政治家だ。個人の感情で物事を判断はしないようにしている。それにカーメネフ君から参加してほしいと請われたし、私も酒は好きだしな。」
「まあこの集まりは政策云々で集まったというよりは、グレッグの個人的人間関係から出来た超党派議連だからねぇ。彼奴らしい試みだよ。」
レベロとホアンが談笑しているとグレゴリーがやってきた。
「親父にレベロの叔父貴!こんな端っこにいたんですか。探しましたよ!」
「やあグレッグ、楽しませてもらってるよ。料理と酒もお前さんがチョイスしたんだろう?」
「いやぁ、この人数でしたからね。張り切らせてもらいましたよ!」
「その酒と飯に対する情熱をもっと政策に反映させてほしいのだがね。」
「叔父貴!そりゃあ言わないお約束ですよ!」
「まったく・・・」
そうグレゴリーを咎めているレベロも顔は笑っていた。
しばらく談笑しているとグレゴリーがレベロとホアンに顔近づけた。
「実は親父達に相談したいことがあるんです。ただここではあれ何で別室に来てもらえませんかね?」
「何か良からぬことでも企んでるのかい?」
「そんな事を考えられるほど頭がよくないことは親父も知ってるでしょう。こちらへどうぞ。」
グレゴリーがホアン達を部屋へ案内すると、
「やあ、グレゴリー君。先に飲ませてもらってるよ。」
「ヨブの兄貴、お待たせしました。」
ヨブ・トリューニヒトがビールを片手にフライドチキンを頬張っていたのである。
後書き
次回でやっと一区切りつきそうです。
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