銀河酔人伝説
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酔っ払い、非常勤参謀と飲む
前書き
もうすぐ原作に突入できると思いましたがそんなことありませんでした。
第5次イゼルローン出兵案が同盟議会本会議で可決された数日後のある日の深夜、グレゴリーは行きつけのバー「レゴリス」にてある人物と酒を楽しんでいた。かつてエル・ファシルの英雄と呼ばれていたヤン・ウェンリーその人である。彼は以前グレゴリーがヤン邸宅に突撃を敢行して以降、酒好き歴史好きという共通の趣味を持つ友人となっていたのだ。
「どうだヤン。結構いけるだろ?」
「はい。ウォッカって割り材として使う物であってストレートで飲むものではないと思ってましたけど・・・凍らせるとまろやかになって飲みやすくなるんですね。」
「旧世紀の地球から伝わる伝統でな。寒い地域の人間はそれを常飲して体を温めてたそうだ。」
「先人達の知恵というやつですね。」
「そうだ。お前さんは酒というとブランデーばっか飲んでいるからな。ヤン、酒というのは人類の知恵と勇気が積み重なって出来た物だ。酒の数だけ人間の歴史がある。視野を広げる為にもっといろんな酒を嗜むべきだ。」
「非常に興味深い意見ですが、あまりそういうことばかり言ってるとまたアンドレイ君に怒られますよ。」
「言うなよヤン・・・アンドレイのやつ、兄さんに任せると生活習慣病まっしぐらになるから俺の健康を管理するとか言って家の酒をどっかに隠しやがったんだよ・・・おかげでこっちは晩酌も楽しめやしない。」
「それだけグレゴリーさんの事を心配してるんですよ。兄思いで良い子じゃないですか。」
「そりゃあ気持ちは嬉しいがな・・・まだ16歳なんだからもっと年相応に楽しんでもいいだろうよ。」
「今の同盟では16歳は立派な社会人だそうですよ。」
「そんなのはただの方便なのはお前さんも分かってるだろう。実際は大人が皆前線に行ってるからその代替として動員されてるに過ぎんよ。」
「まあその通りですね。」
「だからこそ今回のイゼルローン要塞攻略作戦は何とか成功してもらいたいのだがな。そのために財務委員会を説得をして5万隻を動員出来るように場を整えたんだからな。」
「グレゴリーさんは今回の出兵でイゼルローン要塞を攻め落とせると本気で思っているんですか?」
「思っているというよりはそうなってほしいという願望が殆どだがね。なんだヤン、お前さんは今回の出兵はやっぱり反対だったのか?」
「うーん、というよりそもそも正攻法であの要塞を落とせるかどうか疑問ですね。」
「正攻法で落とせないって・・・お前さんがそう言うってことは今回の作戦は厳しいものになるのか?」
「いえあくまで疑問に思っているだけなので・・・こういう予感はあまり当たってほしくないんですがね。」
「そうか・・・ならヤン、いやヤン・ウェンリー少佐。出兵案に賛成した私が言うのは筋違いなのはわかってる。だが言わせてくれ。君の力で一人でも多くの味方を助けてほしい。この通りだ。」
グレゴリーはヤンに向かって頭を下げた。
「止めてくださいよ。私はそんな優秀ではありませんし一介の少佐に過ぎません。」
「君が国家や軍隊に良い印象を抱いていない事はよくわかってるし君と私が思想的に対立関係にあることも承知している。だが私は君の事を誰よりも評価してるつもりだ。」
「貴方に真面目に言われるとどうもこそばゆいですね・・・まあ給料分はきっちり働かせてもらいますよ。私もこの社会にそれなりに愛着があるんでね。」
ヤンは頬をかきながらそう言った。
「ありがとうヤン!作戦が完了したらここでまた奢ろう。」
「まあ、期待してますよ。」
2人は勘定をして別れた。
それから1か月後の宇宙歴792年5月6日、シドニー・シトレ大将率いる同盟軍と帝国軍による戦いが始まった。後に言う第5次イゼルローン要塞攻防戦である。戦いはシトレ大将発案の平行追撃作戦と無人艦突入作戦によって、イゼルローン要塞陥落一歩手前まで迫るも、帝国軍が味方を巻き込んでトゥールハンマーを発射したため同盟軍は恐慌状態に陥り、撤退に追い込まれることになった。
しかし史上初めてあのイゼルローン要塞に大打撃を与えることに成功したため、シトレ大将の昇進が決まり、結果的に出兵案に賛成した議員達の支持率向上に繋がる事になったのである。
後書き
やっと設定だけ決めてた弟を作中に登場させれられました。(尚本人は登場してない模様)
ぶっちゃけ弟本人が登場できるかはまだ未定です。
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