八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第百八十三話 カナダという国その九
「出来れば欲しいわ」
「そうですか」
「ここまであったらね」
「例え何があっても」
「食べていけるから」
仕事に就けるからだというのだ。
「それでよ」
「資格は出来るだけ多くですか」
「欲しいのよ」
「では大学に入れば」
「歌の勉強もするけれど」
それだけでなくというのだ。
「授業にも出てね」
「そうしてですね」
「資格も取っていくわ、もう猛勉強よ」
歌の勉強もしつつというのだ。
「そちらもね」
「大変なものになりそうですね」
「それはあんたもでしょ」
「私はピアノですが」
「教員免許と調律師もでしょ」
「その二つがあるからですか」
「それによ」
裕子さんは早百合さんにさらに言った。
「ピアノは今以上にって考えてるでしょ」
「練習をして」
「そしてコンクールにも出るつもりでしょ」
「はい」
すぐにだ、早百合さんは裕子さんに答えた。
「そう考えています」
「それならよ」
「私もですか」
「忙しくなるわよ」
裕子さんは早百合さんにこうも言った。
「絶対にね」
「だからですね」
「頑張りなさいよ」
絶対にという言葉だった。
「いいわね」
「はい、そうさせて頂きます」
「あんたもね、先生の資格と調律師のも持っていたら」
「音楽の世界で、ですね」
「生きていけるし。そもそもあんたのピアノだと」
その腕ならというのだ。
「かなりいけるわよ」
「それだけの腕がありますか」
「コンクールで優勝したこともあるでしょ」
「何度か」
「それだけのものはあるわ」
早百合さんのピアノの腕はというのだ。
「だからね」
「自信を持ってですか」
「そうしてね」
そのうえでというのだ。
「頑張ってね」
「それでは」
「ええ、じゃあお互い芸術学部に進学してもね」
八条大学芸術学部、そこにというのだ。
「お互いにね」
「努力していく」
「将来に備えていきましょう」
「そういうことですね」
「そう思うと本当にね」
「今ほっとは出来ないですね」
「全くよ、自動車免許は」
裕子さんは今度はこの話をした。
「大型は無理でも」
「今のうちにですね」
「ええ、普通位はね」
「教習所に通われて」
「取っておこうかしら」
高校にいる間にというのだ。
「そうしようかしら」
「では」
「ええ、八条自動車の教習所にね」
丁度学園のすぐ傍にある、しかも八条グループの関係者には何かとサービスが充実している場所だ。
「行ってね」
「そうしてですね」
「普通免許だけでもね」
「取られますか」
「ちょっと考えておくわ」
「では入試の後は」
「ええ、教習所に通って」
実際にというのだ。
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