夢幻水滸伝
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第七十三話 荒波を見てその四
「四国はあと三国あるぜよ」
「讃岐、阿波、伊代と」
「三国ありますね」
「その三国も手に入れていくつもりじゃが」
「まずは何処にしますか?」
周りにいた者の中にいたオークが問うた。
「それで」
「そうじゃな、正直迷うところじゃな」
「はい、土佐からは三国の何処にも攻められます」
「山か海を越えんといかんがのう」
「それでも攻められます」
「そうじゃ、こっちには水軍もあるきにのう」
正岡が海運を重視しているのでこの軍勢も揃っているのだ、そして少ないが空船も持って動かしている。
「それも使ってじゃ」
「三国の何処にも攻められますね」
「だから迷うぜよ、しかしじゃ」
「もう決めておられますか」
「伊代じゃ」
正岡は次に手に入れる国をその国だと答えた。
「あの国じゃ」
「伊代ですか」
「伊代は四国でも一番豊かな国ぜよ」
正岡はオークに明るい声で答えた。
「だからぜよ」
「まずは豊かな国から手に入れる」
「そうじゃ、それで伊代の水軍も加えてあそこの港でもぜよ」
「商いをしますか」
「そうぜよ、九州や山陽とも商いをしてじゃ」
伊予の港を使ってというのだ。
「そうしてでよ」
「より豊かになりますか」
「そう思っちょるがどうじゃ」
オークだけでなく自分の周りにいる者全てに問うた。
「わしはな」
「讃岐や阿波もいいですが」
「確かに伊代はいい国です」
「土地は肥えていて蜜柑もよく出来ます」
「しかもええ港もあります」
「あそこはむしろ土佐より豊かです」
周りの者達も口々に言った。
「あの国を手に入れたら後の二国はすぐに手に入ります」
「二国のどの豪族達も相手にならんだけの勢力になります」
「ほなですね」
「次は伊代ですか」
「そうするぜよ、では四万十川を手に入れるんじゃ」
その流域つまり土佐の西もというのだ。
「ええのう」
「はい、それでは」
「あちらにも人をやりましょう」
正岡はすぐに土佐の西にも人をやりそのうえで四万十川流域の豪族達も軍門に加え時としては戦を行って自身の勢力に加えていった、そして次は伊代となった。
その伊代では織田が松山城にいて伊代一国を治めていた、彼はこの世界に来るとすぐに松山城の主に推されたのだ。
その時のことを思い出してだ、彼はその松山城の中で自分に仕えている者達に話した。
「こちらの世界でも色々なことがありましたね」
「はい、そうですね」
「棟梁がいきなりこの松山に出て来られてです」
「僧侶の術で怪我人や病人を瞬く間に治されてです」
「我等とお会いして」
「そうしてでしたね」
「はい、松山の主に推挙されて」
そしてというのだ。
「そうしてでしたね」
「はい、そのうえで」
「松山からでしたね」
「人を左右に送り伊代の豪族達を加えていき」
「今に至りますね」
「伊代一国を治めるに至っています」
織田は穏やかな声で述べた。
「そして無事に治めています、しかし」
「しかし?」
「しかしといいますと」
「私はどうもです」
自分のことをこうも言う織田だった。
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