夢幻水滸伝
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第七十三話 荒波を見てその一
第七十三話 荒波を見て
正岡龍馬はこの時笑ってだった、目の前にあるその広い大海原を見ていた。そうしてその後ろにだった。
多くの者達がいた、正岡はその彼等に対して言った。
「まさか馬人になってじゃ」
「それで、ですか」
「ここにいるとはですか」
「思いませんでしたか」
「全くじゃ」
こう彼等に言った、後ろには様々な種族の者達がいる。
「こっちの世界におるとはまっこと面白いぜよ」
「面白い?」
「そう言われますか」
「てっきり何でこんなことになると言われると思っちょりましたが」
「そう言われますか」
「そうぜよ、面白いぜよ」
正岡はその馬の顔を綻ばせて彼等に話した。
「これはまっことじゃ」
「面白いですか」
「そうですか」
「面白いことですか」
「そうじゃ、しかもおるのは故郷の土佐ぜよ」
今彼は土佐にいるのだ、そこの荒波を見つつそうして後ろにいる者達に言うのだ。
「それでこの土佐から身を起こせっちゅうんじゃな」
「星の方としてです」
「是非この世界を救って欲しいです」
「今この世界はあちこちばらばらで魔物も出ちょります」
「それで世界を滅ぼす何かが出るって話です」
「何か、か」
正岡はそう聞いて右目を瞑って呟く様に述べた。
「それが気になるのう」
「はい、それが何なのか」
「わし等にはわかっちょりません」
「それで、です」
「正岡さんにと思っちょります」
「わしは喧嘩も戦も好きではないぜよ」
自分の後ろにいる者達にだ、正岡はまずこのことから話した。
「商売が好きじゃ、政もじゃが」
「じゃあその商売でお願いします」
「何とかこの世界救って下さい」
「何があるか全くわからんで不安ですし」
「ここは」
「ここに来たのも何かの縁じゃ」
それでとだ、正岡は彼等に応えた。足場は岩になっていてその前の海は白波を立てて岩に強いものを浴びせていた。
「それならじゃ」
「引き受けてくれますか」
「そうしてくれますか」
「そうさせてもらうぜよ、ほな城に入ってじゃ」
高知城だ、正岡が知っているその城と同じく見事な天守閣が城の縄張りも見事だ。彼は気付くとその城にいたのだ。
その城に入ってとだ、彼は後ろにいる者達に話した。そしてその彼等と共にだった。
高知城に戻った、そしてその際に城の隣にある天理教のかなり大きな教会を見て言った。
「あの教会もあるのが面白いぜよ」
「天理教の教会がですか」
「あることがですか」
「そうぜよ、起きた世界にもあるぜよ」
彼のその目で見つつ述べた、馬は色彩感覚がないが彼には色も見えていた。
「それでこっちの世界にあることがぜよ」
「面白いですか」
「そうですか」
「ああ、わしは天理教の信者さんじゃないが」
それでもというのだ。
「あの教会にお邪魔したことはあるぜよ」
「神社と同じで境内で遊んでもいいですし」
「子供がよく出入りしています」
「あの宗教の信者さんの子供もよく出入りしていますし」
「子供が多い宗教ですね」
「それでわしも高校に入るまでよく出入りしていたぜよ」
高校は八条高校で神戸にある学校なので高知を後にしている、それで彼が今見ているその教会から遠ざかったのだ。
「それで可愛がってもらったぜよ」
「その教会がこっちの世界にもあってですか」
「面白いですか」
「そうぜよ、また今度お邪魔するぜよ」
明日にでもとだ、正岡は思っていた。
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