八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第百八十二話 港とヤクザその五
「戦争自体には勝ってるんだよね」
「イタリアはね」
「その辺り面白いんだよね」
戦場では笑い話になる位に弱くてもだ。
「戦争は勝つんだよね」
「最後は勝ってる方にいるんだよね」
「それで敵も酷いことしないし」
旧ユーゴのチトーパルチザンは攻め込んできたイタリア軍の将兵を捕虜にして少しこづくとすぐに大泣きして命乞いしたので可哀想になって手荒くしなかったという、だがイタリア軍を助けたドイツ軍は反抗的だったので残虐に扱ったという。
「あの助かるんだよね」
「そうだよね」
「あれはね」
見ていてだ。
「愛嬌あるけれどね」
「面白いっていうか」
「そうした戦いもあるって」
「思えるよね」
「勝てばいいんだって」
例え戦場で敗れてもだ。
「最後の最後に」
「そうだよね」
「あそこはサッカー強いけれどね」
「戦場では弱いね」
「そこも不思議だね」
「マフィアも怖いのに」
とにかく戦場では弱いのだ。
「愛嬌がある感じで面白くて」
「魅力的な国だね」
「一回行きたいね」
「本当にね」
二人で話してだ、ここで僕は若井君に親父のことを話した。
「うちの親父今あっちにいるけれどね」
「ああ、イタリアに」
「そうなんだけれどね」
「そういえば君の親父さんは」
「そう、医者でね」
「今そっちに転勤してるんだよね」
「それで欧州中飛び回ってるよ」
そして手術をして遊びを楽しんでいるのだ。
「随分楽しくやってるみたいだよ」
「そうだよね」
「パスタもかなり食べてるみたいだよ」
勿論ピザもだ。
「毎日楽しいって言ってるよ」
「それは何よりだね、ただマフィアは」
さっき話に出たこの人達はというのだ。
「怖くないかな」
「ああ、ヴェネツィアに住んでるから」
「それでなんだ」
「シチリアにも行くそうだけれどね」
「ナポリにもだよね」
「そうらしいけれど」
シチリアがマフィアでナポリがカモラだ、同じ犯罪組織でもその名前が違うのが少し複雑なところだ。
「関わりないそうだよ」
「そうなんだ」
「親父はね」
「イタリアの南の方凄いって聞くけれど」
本当に経済を裏から動かしている程だ、清掃業とかはもう殆どマフィアやカモラが取り仕切って利権にしているらしい。
「それでもなんだ」
「うん、それでもね」
「お父さんは関係ないんだ」
「うちは表の世界の家だしね」
僕は若井君に八条家の話もした。
「だからね」
「お父さんもなんだ」
「うん、患者さんとして来るならともかく」
「関わりはなんだ」
「ないよ」
というか親父はあれでヤクザ屋さんが嫌いだ、遊び人とヤクザ屋さんは違うというのが親父の考えだ。
「全くね」
「それでなんだ」
「マフィアのゴッドファーザーの手術はしたことがあるらしいけれど」
それでもだ。
「組織自体との関わりはね」
「ないんだ」
「うん、まあバーとか娼館とかはね」
「マフィア関わってるよね」
カモラでも同じだ、このことは。
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