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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第百八十一話 体育祭が近付きその七

「ですが罪は罪で」
「生きていてはですね」
「駄目ですよね」
「若し切り裂きジャックが残っていればです」
 畑中さんはあえてこのケースを話した。
「その時はよりです」
「犠牲者が出ていましたね」
「間違いなく」
 最早論理を持たないまでに確実のことだ。
「そうなっていました」
「世の中そうした人もいるってことですね」
「はい、人でなくなった存在も」
 人の姿形をしていてもだ。
「切り裂きジャックは魔物ですが狂獣や餓鬼、外道に堕した輩が」
「そうした連中はですね」
「もうどうしようもありません」
「消すしかですか」
「はい、法的に処刑するか社会的に完全に抹殺するか再起不能にするか」
 畑中さんがその教師の下したのは後の二つだった、二度と剣道を出来ない身体にして社会的に抹殺したのだ。
「どれかです」
「そうするしかない連中もいるんですね」
「左様です、残念ですが」
「人手なくなった存在ですか」
「その切り裂きジャックの様に」
「確かに切り裂きジャックは魔物ですね」
 冗談抜きに人間じゃなかったかも知れないと思う時がある、殺し方が残虐過ぎるしその速さと手際が異常にいい。人間の技とは思えない位だ。
「何か違う存在に思えます」
「人の姿形でも人の心を失えばです」
「人でなくなりますね」
「そうです」
 まさにというのだ。
「今申し上げた通り」
「じゃあお袋の実家の人達は」
「止様を殺そうとまでした人達だからですか」
「そうなっているでしょうか」
「そこまではわかりません、ですが」
 それでもとだ、畑中さんは僕に話してくれた。
「許されないことはしています」
「既にですね」
「私はそう思います」
「そうですか」
「そしてその許されない罪はです」
「親父がですか」
「決着を着けられます」 
 お袋の愛している人としてというのだ。
「そこで止様のお背中を見て下さい」
「親父の背中をですか」
「そうです、それを」
「親父の背中を見ろ、ですね」
 僕はここでこうも言った。
「つまりは」
「その通りです」
「そうなりますか」
「止様は立派な方です」
「だからお袋もですか」
「必ず連れ戻されます」
 このことは間違いないというのだ。
「そしてです」
「そのうえで、ですか」
「義和様にも見せて下さいます」
 親父の背中、それをというのだ。
「必ず」
「それで、ですか」
「見ておいて下さい」
「その時が来れば」
「そうされて下さい」
 こう僕に話してくれた。
「その時は」
「わかりました、その時は近いですか」
「止様が動ける様になれば」
「親父は動きますからね」
 兎角フットワークが軽い、もう右に左に素早く動いて働くし勿論遊びもする。その両方で活発なのだ。 
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