夢幻水滸伝
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第七十一話 衝突その九
「人材やった、それでや」
「僕を迎え入れてか」
「すぐに出雲まで行ってもらったんや」
「成程な」
「それでそこからな」
「西国統一に入ったんやな」
「一回東海北陸とがつんと戦ってな」
「その勢いを削いでからやな」
「そうした、賊も成敗したりしながらな」
「成程な、しかし自分等も色々あったんやな」
「色々あり過ぎたわ」
芥川は中里に笑って答えた。
「ほんまにな」
「聞いてる限りそやな」
「それでどうしようかと思ってたらな」
「僕が来たって訳やな」
「そや、ほんまによかったわ」
芥川は今も笑っていた、そのうえでの言葉だ。
「人材が一人おるとおらんで全くちゃう」
「雲泥の差か」
「そこまでの違いやな」
実際にというのだ。
「ほんまにな」
「そやねんな」
「ああ、そやからこれからも頼むで」
「わかったわ」
中里は芥川に笑って話した。
「ほなこれからもな」
「宜しゅうな」
「さて、それではだがや」
ここで坂口が言ってきた。
「わし等も話してええだぎゃ」
「ああ、頼むわ」
中里が坂口に答えた。
「是非な」
「こちらもお話します」
「そうさせてもらうぜよ」
井伏と正岡も言ってきた。
「まあ面白いと思ってくれたがええが」
「話させてもらうわ」
「おいどんもでごわす」
「こっちもな」
北原と幸田も言ってきた。
「話させてもらうわ」
「そうさせてもらうでごわす」
「頼むで、そういえばな」
ここで中里は井伏と彼のすぐ傍にいる山本を見て言った。
「山陽は結構あったらしいな」
「そのことじゃな」
山本が応えた。
「先輩の言う通りじゃ」
「やっぱりそうか」
「わしはあの時ほんまどうしようもなかったですけんのう」
「色々荒れとったんやな」
「そうじゃった」
山本は中里に自分の故郷の言葉で答えた。
「色々すさんじょりました」
「それがか」
「こいつと会いまして」
井伏を見ての言葉だった。
「それで変われました」
「そうやったんやな」
「はい、それでその話もですか」
「聞きたいわ、自分が変われた話をな」
「わかりました、ほな兄弟」
「おう、話させてもらうか」
井伏は山本と顔を見合わせて頷き合った、そしてだった。
そうしてだ、中里に顔を戻してあらためて話した。
「ほな今からですわ」
「話してくれるか」
「こっちが次でええか」
「いいぜよ」
正岡は井伏に笑って話した。
「おまん等が先に喋るぜよ」
「こっちもそれでええだがや」
「うむ、それでいい」
坂口だけでなく室生も言ってきた。
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