八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第百八十話 まさかのことその六
「そのことは」
「はい、信頼の置ける方です」
まさにというのだ。
「ですから」
「お袋は今秋田にいるんですね」
「はい、それもです」
「お袋の実家に」
「そちらに」
「そうですか」
僕はその話を聞いてこれまでの疑問が一気に溶けて真実に迎えたと思えた、あのお袋が親父から逃げる筈がないという疑問がそうなってそして何故お袋が僕達の前からいなくなったのか。本当に凄いことがわかったと思った。
そしてだ、僕は畑中さんにさらに尋ねた。
「親父はお袋を」
「はい、その様にです」
「助け出したいんですね」
「そうお考えです」
「そうですよね、やっぱり」
「止様はそうした方ですね」
「確かに遊び人です」
このことは本当に否定出来ないしするつもりもない、事実だからだ。
「ですがそれでも」
「お母様は第一でしたね」
「そうでした、遊ぶ相手も」
多分その人生で千人は優にいる人達もだ。
「彼氏持ちや人妻さんは絶対にですから」
「そうですね、そして」
「はい、お袋が第一で」
このことは何があっても守ってだ。
「家庭も忘れていません」
「そうした方ですね」
「色々破天荒ですが大事なものは持っています」
そうしたことは一切抜けていない、そうした親父だ。
「いつも」
「そうした方だからですね」
「はい、親父はです」
本当にだ。
「お袋の行方がわかったら」
「その時はですね」
「絶対にです」
僕も断言した。
「親父は動きます」
「私もそう思います」
「それじゃあ」
「はい、ただ今はです」
「親父は動かないですか」
「動けないです」
こう僕に話してくれた。
「止様は」
「イタリアにいるからですね」
「はい、お母様のことがわかったのも」
「最近ですよね」
「今日のことでしたから」
「今日ですか」
「昨日御覧になられて」
お袋の実家に出入りしていた八条家とも関わりのある人がだ、多分お袋の実家の人達はその人が八条家と関係があることを知らなかったのだ。
「それで今日連絡してくれてですから」
「そうだったんですね」
「はい、ですから」
「このことは、ですか」
「止様も今は」
「動けないですか」
「すぐには。しかも止様でないと成功出来ない手術が幾つも控えているとか」
欧州の方でというのだ。
「ですから」
「難しい状況ですね」
「まことに」
「親父としてもですよね」
親父の性格からだ、僕は考えて言った。
「この状況は」
「何とかしたいでしょうが」
「すぐにはですね」
「行けなくてイタリアで」
まさに今日連絡がいってというのだ。
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