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夢幻水滸伝

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第七十一話 衝突その六

「けどどうもな」
「はい、その隙がですね」
「どうもないですね」
「いい退きです」
「守りを固めて」
「あれは室生やな」
 退きを指揮している星の者についてもだ、芥川は言った。
「そやったな」
「その様ですね」
「今回の攻めでは前には出ていないですが」
「それでも采配は執っていましたし」
「退きの時もですね」
「采配執ってるな、攻めもよかったけどな」
 それだけでなくというのだ。
「退きの采配の方がええな、これはや」
「迂闊にはですね」
「攻められないですね」
「どうにも」
「陸地も固めて空もや」
 退く軍勢の上を見るとだった。
 空船達が編隊を組んでいる、それも立体的にだ。しかもその周りには空を飛べる種族や術を使って飛べる者達がいる。
 それを見てだ、芥川は唸って言った。
「隙がないわ、これはや」
「攻められそうにないですね」
「残念ながら」
「ああ、敵ながらな」
 まさにと言うのだった。
「見事なもんや、けれど金ヶ埼は抑えた」
「北陸の玄関口ですが」
「この城を抑えたことは大きいですね」
「そや、守りも固められるし攻める時もな」
 将来も見据えてというのだ。
「いけるわ、近江出も敵は退いたみたいやし」
「あと播磨の方もですね」
「敵は退いたみたいですね」
「あちらも」
「とりあえず危機は乗り越えたみたいやな」
 東西から攻めてきたそれぞれの敵は退けることが出来た、芥川はまずはこのことを喜んだ。だがこの時からだった。
 関西は東西から絶え間なくと言っていいまでに攻められた、東海と北陸の連合も山陽もしきりに攻めてきて四国も時折来る。その中でも関西は伊賀を完全に勢力圏に収め淡路も抑え関西の上にある浮島も全て勢力圏に収める等して勢力を拡大させることには成功していた。 
 しかしだ、芥川は軍議の場で言った。
「正直ここからさらに勢力を拡大させるにはな」
「ちょっと足りんね」
「そや、うちは東西を敵に囲まれてる」
 芥川は綾乃にこのことを話した。
「そやからな」
「今現在ここからさらに勢力を拡大させよ思うたら」
「兵はおる」
 こちらの問題は大丈夫だというのだ。
「十万の兵がな」
「日本で最大の兵の規模やで」
 綾乃もこのことを言った。
「この十万の兵があれば」
「東西のどっちかの守りを固めてな」
「もう一方を攻めるんやね」
「それが出来る、けどな」
「星の子がちょっと」
「そや、もう一人戦える奴が欲しいわ」
 芥川は綾乃に困った顔で話した。
「あの傭兵の四人時々雇ってるけどな」
「傭兵ですから」
 ここで太宰が宰相の座から言ってきた。
「契約の期限が切れますと」
「他のとこに行くからな」
「だからですね」
「確かな人材として期待は出来ん」
「では正式にこちらに迎え入れますか」
「まあいい加減な連中やけどな」
 それでもと言う芥川だった。
「目を離したらさぼるし」
「私が目を光らせますが」
「そうしててもな」
 それでもと言うのだった。 
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