八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第百七十八話 秋の二大イベントその十三
「そもそも」
「とかくメジャーではありませんのね」
「もう何処でもね」
「そうしたものですのね」
「だってね、豚肉とか牛肉があったら」
ジョーンさんに僕は思ったことをそのまま話した。
「やっぱりね」
「そちらを食べますわね」
「ニュージーランドじゃ羊だよね」
「はい」
ジョーンさんの今の返事は即答だった。
「何といいましても」
「大体お肉イコールだよね」
「マトンかラムですわ」
大人の羊の肉か子羊の肉か、マトンは羊肉独特の匂いがするけれどラムはその匂いがしない。羊肉が好きな人はむしろその匂いがいいけれどだ。
「もう食べようと思えばそれこそ」
「山みたいにだよね」
「食べられますわ」
「数が違うからね」
その羊のだ。
「ニュージーランドは」
「七千万頭はいますわ」
「ニュージーランドの人口が三百万で」
それよりもなのだ。
「七千万頭だからね」
「羊毛も取れますし」
これが一大産業になってきていた、ニュージーランドもオーストラリアも羊毛で発展してきた国だ。オーストラリアはここに鉱産資源も出てそれで宗主国だったイギリスもびっくりの発展を遂げた。
「お肉もですから」
「お肉食べ放題だよね」
「はい、ただどうも羊のお肉は」
ここでジョーンさんは微妙な顔になって僕に話した。
「日本では」
「ああ、ちょっとね」
「馴染みがありませんわね」
「匂いがね」
マトンのそれがだ。
「あまりね」
「好かれていませんわね」
「あの匂いが食欲をそそるけれど」
羊の美味しさを知っているとこうなるけれどだ。
「それがね」
「日本の方には」
「今一つね」
「匂いのせいもあって馴染みがありませんわね」
「それが残念だよね」
「どうも」
「あんな美味しいものはないのに」
エリザさんも残念そうに呟いた。
「お酒にも合うのに」
「ワインにもビールにも」
「どちらにも」
オーストラリア人はとんでもない量のビールを飲む、それはエリザさんも同じだ。小柄だけれど大酒飲みなのだ。
「合うし」
「安くてカロリーも低くて」
「しかも脂肪も燃やしてくれる」
食べる人のそれをだ。
「こんな最高のお肉なのに」
「日本ではあまり、ですわね」
「それよりもお魚を食べる」
「その傾向はありますわね」
「ハイギョだって食べるのに」
「食べませんから」
日本人はハイギョを食べる、僕はこのことは否定した。
「それは」
「戦争中食べていたとか」
「東南アジアで、ですよね」
「あんな見るからにまずいお魚を」
「食べるものがなかったからですよ」
エリザさんにこう返した。
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