異世界は神皇帝と共に
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第1巻
ギルドの依頼での王都行き×公爵家を助けた赤龍帝
ギルドの依頼は様々あって、魔獣討伐や採取に調査とあって珍依頼が子守とかもあった。何度かギルドの依頼を熟す二人は、昨日ギルドランクが黒から紫へと変化した事で初心者冒険者を卒業。
これでボードに貼られてる依頼書の内、黒と紫のなら大丈夫と言うお墨付き。俺はグラサンで文字を見ながらこれは絶対女性らに避けられそうな案件があった、報酬は銀貨八枚だが北廃墟にいるメガスライム討伐。
『スライムか、かつてリアス嬢らグレモリー眷属がスライムに襲われて服を溶かされた事があったな』
『それについては覚えてるわ、私と一真と久々に出会ったとこだもの』
「この仕事は?王都への手紙配送で交通費支給、報酬は銀貨七枚だそうだ」
「いいですね。スライム討伐よりもマシな案件です、依頼主はこの町にある服飾関係のオーナーのようですね」
「ところで王都はここからどのぐらい掛かるんだ?」
「馬車で五日くらいだけど一真のアレならすぐなんじゃない?」
長旅であろうと余り車を使いたくないし、帰りでゲート使うのも野暮だから依頼書を受付に持ってくエルゼ。受付を済ませたら『ファッションキングザナック』へ向かい詳細な事を聞いた。
「こんにちは、オーナーはいるかな?」
「私がそうだが『ギルドの依頼で来た者だ』では奥の部屋へ案内しよう」
ここは追い剥ぎにあった場所だから覚えてるが、残念な事にコイツとのイベントスルーしてしまったので初めて会ったようにも思えない。
「仕事内容はこの手紙を王都にいるソードレック子爵へ届けてくれ、私の名前を出せば分かるはずで子爵からの返事も出来れば貰ってきてほしい」
「急ぎの手紙ですか?」
「急ぎではないが余りゆっくりされていても困る。こちらが交通費、少々多めに入れといたから余ったら返却不要だよ。王都へ行くのだから見学しに行けばいい」
手紙と交通費を受けとり店を出る俺は、早速旅の身支度に取り掛かる。とは言っても軍用車に乗せる食料の買い出しと宿屋に戻って必要な道具を持ち出す事、その間に俺は軍用車を外から見ると馬車に見える細工を施す。
馬の扱いにも慣れてるが、流石に車の運転をするのが俺一人なので交代無しで運転する事になる。二人は親戚が農場を経営してたから馬の扱いに慣れてると言ってた気がする。
「何でこの車に乗っていても気付かないのかしら?」
「それは俺が外からだと馬車に思わせたからだよ。車を知らない者なら識別するようしといた、一々驚かれては面倒だったからな」
リフレットを出発してノーランを過ぎ、アマネスクの町に到着。今日はこの町で宿を取る事にするが、ゲートを使ってリフレットの宿屋を使うなど言語道断。旅の楽しみを捨てるとかアホかと。
宿はリフレットのより上等な部屋割り、車を空間内に入れて食事に出かけるが確かここは麺類が美味いらしいと宿の親父から聞いた。町中を散策してると争いが聞こえるから野次馬も集まっていて騒ぎが起こりそうだ。
「何だ?」
「あの子、変わった格好をしてますね」
「まるで侍か?」
リンゼの疑問に答えたが、侍と言うよりハイカラな感じだ。侍の少女を取り囲むように十数人の雑魚が剣やナイフを構えていたが、きっとお礼参りにでも来た奴らなのか?と思う程。
「昼間は世話になったな、姉ちゃん。お礼に来てやったぜ」
「・・・・はて?拙者、世話などした覚えはないのでござるが」
うわマジか、拙者やござる口調は初めて聞いたぞ。
「すっとぼけやがって・・・・!俺らの仲間をぶちのめし時ながら、無事で帰れると思うなよ」
「・・・・ああ、昼間警備兵に突き出した奴らの仲間でござるか。あれはお主達が悪い。昼間っから酒に酔い、乱暴狼藉を働くからでござる」
「やかましい!やっちまえ!」
男達が一斉に襲い掛かるが、侍ガールは簡単に避けて軽く投げられて背中から叩きつけられたから悶絶する男ら。合気道に近い、そのまま続けて三人ぐらい投げ飛ばすけど何かよろめいてるような気がする。
「ここからは俺の番だ!」
「何だテメエは!ぐわっ!」
「厄介事に巻き込ませて悪いが、彼女を頼んだぞエルゼ」
「任せて一真」
その間にハンドガンを乱射していく姿を見たエルゼ、ハンドガンだけで次々と男達は撃たれた瞬間痺れていた。スタンガンだから無傷で御用となったが、町の警備兵がやってきたから現場を離れた。
「ご助力、かたじけなく。拙者、九重八重と申す」
「もしやイーシェン出身?」
「如何にも。イーシェンのオエドから来たでござる」
「俺は織斑一真、よく間違われるけどイーシェン出身じゃないから」
「よろしくでござる」
「ところでさっきの戦いでふらついてたけど大丈夫なの?」
心眼で見ても身体には異常無くとも腹が空いてただけみたい、顔を真っ赤にして肩を小さくしてた。俺らも食事にするから八重を連れて食堂へと向かうが、八重曰く見ず知らずの者らから施しを受ける訳にはいかないそうだ。
「俺らは旅の思い出にイーシェンの話が聞きたいが、代わりと言っては何だが俺らは食事を提供する。これは施しではなく取引だから遠慮なく食べなさい」
そう言うと注文し始めたな。
「・・・・へえ、八重さんは武者修行の旅をしてるんですか」
「もぐもぐ、如何にも。我が家は代々武家の家柄でござる。実家は兄が継ぎ、拙者は腕を磨くために旅を出たのでござる」
「アンタ、とても苦労してるのね」
「そんで?八重はこれからどうすんの?目的地は?」
「王都に、昔父上が世話になった方がいるので、そこを訊ねてみようと思ってるでござる、よ」
俺らの質問にうどんをすすりながら八重は答えるが、食べながら返すのはマナー違反だぞ。これが偶然なのか知らんが、俺らも王都へ向かってるから一緒に行く話になってた。
「構わないですよね、一真さん」
「それは別にいいけど、八重はどこに泊まるの?」
「今日は野宿でござる」
「野宿は危険だからあたし達の宿に来なさいよ、お金は立て替えてあげるから」
「いやいやそこまで世話になっては申し訳なく・・・・」
八重を加えても食費に問題はない、だが八重もここまで世話になるつもりもないらしい。だからここで提案してみる事に、剣の腕に覚えがあるなら俺の剣を止めてみろと提案してみた。
「確かに剣には自信があるでござるが、一真殿はどこに剣を?」
「ここにある。一見アクセサリーに見えるが」
真剣は危ないので木刀にして、八重は自分の持つ刀を使った模擬試合。結果は目に見えてたが、合図した時には剣先が八重の首筋に当ててたから。剣の腕に自信があっても俺に勝てなければ俺らと一緒に行く事、これが勝利条件で金貨一枚使わずに済んだ。
アマネスクの町を出て、更に北へ進むが最初車を見た八重は不思議がってたがいざ乗ってみると馬車より揺れないから絶賛してた。ベルファスト王国は大陸の西に位置されており、西方で二番目に大きい国とされている。
「ゼロ、自動運転で頼む」
「自動運転って何ですか?」
「俺がハンドル握らなくとも進んでくれる代物さ、魔法書でも読んでこの世界には無属性魔法がどのようにあるか調べないと」
「あたしが使う【ブースト】も使えるものね、しかも魔法名も詠唱も無くとも使えるのはどんなトリックよ」
『実際はクロックアップに似た事だもんな』
『まあな。だが無属性魔法は個人しか使えない代物も使えるとは』
自分だけが使える切り札的な存在を俺が簡単に使えてしまうし、過去の無属性魔法を多く記された本を買って使える魔法がないか検索してみた。が、とても数が多いのが難点で分かりやすく言うと電話帳並みに。
線香の煙を長持ちさせる、お茶の色を鮮やかにする、どれも必要性を感じない魔法で正直言えば魔法使わずとも生きていけそうだ。八重のリボンを引き寄せたが、あれはただ空間に手を突っ込ませて持ってきた事だし。
「無属性魔法が如何にするかはまた今度にしよう、ゼロ、自動運転から手動運転に・・・・ん?この匂いは鉄、いや血の匂いがする」
「あれを見て下さい!鎧を纏った兵士を襲うリザードマン達の姿が」
「飛ばすぞ、舌を出さないように」
アクセルを踏み煌びやかな馬車に向かうが、状況把握をしながらゼロが言うにはリザードマン達に兵士がやられてると。馬車の中に怪我人がいる、もしかして王族関係者か?それならやっとこの力を使える時が来たようだ。
「見えた、ゼロ!」
「【炎よ来たれ、渦巻く螺旋、ファイアストーム】」
ゼロの牽制とリンゼの魔法によりリザードマン達の横を通り過ぎて車から降りた。
「キシャアアアアアッ!?」
「やかましいわ、トカゲ擬きが!」
俺は剣から無詠唱で風を使った斬撃で倒していく、エルゼはガントレットで受け止めて隙を付いて八重の刃が切り裂くのを見てナイスコンビネーション。隙を与えずに攻撃すると氷の矢が飛んでいき、リンゼも応戦するかのような後方支援。
「【闇よ来たれ、我が求むは蜥蜴の戦士、リザードマン】」
「一真さん、召喚魔法です。あのローブの男がリザードマンを呼び出してます!」
何か多いと思ったらそういう絡繰りか、無限に呼び出すから面倒だけど術者を殺してしまおう。周りの者が見えない間に斬り落とした術者の首、八重よりも神速の速さで飛ばしたからかリザードマンは全部消滅していく。
『何か呆気なかったな』
『だがここでようやくドライグの力を見せれる』
「全員無事のようだが、そっちの被害状況は?」
「護衛の十人中、七人がやられた・・・・くそっ、もう少し早く気づいていれば」
「誰か!誰かおらぬか!爺が・・・・爺が!」
兵士が揃って拳を震わせてたが、不意に響いた声で全員が一斉に振り返る。馬車の扉を開けると金髪少女が泣きながら叫んでた、馬車の中に怪我人がいると知ってたが怪我人は老人のようだ。
「誰か爺を助けてやってくれ!胸に・・・・胸に矢が刺さって・・・・!」
「リンゼ、この場合回復魔法を与えてもどうにもならん事態か?」
兵士達が老人を馬車に降ろして草むらに横たえる。リンゼ曰く刺さった矢が倒れた時に折れて、身体に入り込んでしまっていてこれでは回復魔法しても異物が体内に残ったまま。リンゼでは助からない事案、だからかそれを聞いた少女は絶望へと染まって行く。
「・・・・お嬢様・・・・」
「爺・・・・っ、爺っ・・・・!」
「お別れで・・・・ございます・・・・お嬢様と過ごした日々・・・・何よりも大切な・・・・私めの・・・・ごふっ・・・・」
「爺!もういいからっ・・・・」
ほう、これは大回復魔法の出番かもしれんがここに侯爵家の者がいるなら王族関係者だと思いたい。まずは身体の中に残った矢を取り出してから回復魔法をかけるとしよう。
「ちょっといいかな・・・・ブーステッド・ギアスタンバイ『Boost』まずは鏃を取って」
「何をする気?・・・・そうか体内にある鏃を取り出しのね!」
「ドライグ、回復魔法に譲渡する『Transfer』これで何とかなりそうだ」
左手の籠手を使い右手で回復魔法を与えると、老人の胸にあった傷が無くなり塞がった。
「・・・・おや?痛みが引いて・・・・?これはどうした事か・・・・治って・・・・治ってますな、痛くない」
「爺っ!?」
不思議そうに起き上がった老人、抱き着いて安堵した少女、亡くなった兵士を死者蘇生で生き返らした。これは魔法でも不可能だけど俺なら可能。
「本当に助かりました。何とお礼を言ってよいやら・・・・その籠手は!?」
「気にしないでくれ。怪我も治ったし死んだ兵士達も蘇らせたし、この籠手を見て分かる様子だな」
「感謝するぞ、一真とやら!お主は爺の、いや爺だけではない、わらわの命の恩人じゃ!」
偉そうな言葉遣いで礼の言葉を発してた金髪少女、高級そうな馬車に多くの護衛兵士と執事が乗ってるんだから貴族の令嬢ではなく王族関係者。その証拠に執事だけは籠手を見て驚いてたが。
「ご挨拶が遅れました。私、オルトリンデ公爵家家令を務めております、レイムと申します。そしてこちらの御方が公爵家令嬢、スゥシィ・エルネア・オルトリンデ様でございます」
「スゥシィ・エルネア・オルトリンデだ!よろしく頼む!」
「おう、よろしくしてやるぞ」
普通に挨拶してると横で双子の姉妹と八重が固まっていた。
「・・・・何してんの?」
「何って何でアンタはそんなに平然としてるのよ!公爵家よ、公爵!」
「公爵は、爵位の一番上で他の爵位と違って、その爵位を与えられるのは基本的に王族のみです」
「如何にもわらわの父上、アルフレッド・エルネス・オルトリンデ公爵は国王陛下の弟である。じゃが何故お主はそんなに冷静なのじゃ?」
「お嬢様、こちらの籠手を見て下さい。その赤い籠手、もしやプトレマイオス神国大公ではありませんか?」
「ま、これを見て驚くのは王族か関係者だと思っていた。改めて名乗ろう、俺の名は織斑一真ってのは表の名、裏の名はティグルヴルムド=ヴォルンと言う。プトレマイオス神国の大公をしていている」
あちらが国王の姪ならばこちらは神国大公だから驚かない、逆に今まで一緒に旅してきたエルゼ達は驚愕していた。まさか存在してるか分からない神国の大公が目の前にいるのだから、双子姉妹と侍娘は両膝を付いて頭を下げてたが平伏だっけ?
「と言う事で俺の事は表に出さないと助かる、俺がプトレマイオス神国大公だと思われても困るだけだからな。別に公式の場じゃないから敬語も無しな」
「スゥはスゥで良い、わらわも頭を下げなくてはならぬがそう言うのだからお前達も顔を上げるのじゃ」
俺とスゥがそう言うと頭を上げて立ち上がる三人、だけどスゥの正体よりも俺の正体の方がまだ驚いた顔してた。まあ公爵と大公は同じだけどプトレマイオス神国の主だと知るのは一部のみだ。
「で、何故こんなとこに公爵の令嬢がいるの?」
「お祖母様のとこからの帰りじゃ。あと調べ物があっての、一月ほど滞在して王都へ戻る途中じゃった」
「そこを襲う輩が誰なのか、盗賊が召喚魔法まで使って襲う事は無い。ま、死者蘇生したから軽く尋問すればいい訳だし」
目的は暗殺か誘拐の二択、生き返らせてまた首を刎ねるのもいいかもしれんが誰に雇われたかは分からず仕舞い。護衛者も蘇生させたから問題無いとはいえ、また襲撃して死なせてしまっては意味が無い。
「俺達も王都へ向かってたところなんだ、護衛として雇ってくれるなら助かる」
「そうでございましたか。お言葉に甘やかせて頂きます、お礼は王都に到着次第」
そう言って馬車へ戻る執事とスゥ、それから護衛者達の馬も一緒に行く事となった。公爵家の馬車が前で後ろが俺達、単騎で馬に乗った護衛者達が先導してた。残りの者らは現在の事情を伝える為、公爵家へとスゥの手紙を持って馬で走り去った。
俺は公爵家の馬車に乗っていない、別に乗ってもよかったがこちらの方が乗り心地がいいのでね。魔法も剣も使えて更に銃器も使えるなら、もし敵に襲われてもすぐに対処可能だから。
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