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異世界は神皇帝と共に

作者:黒鐡
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第1巻
  ギルドの初登録と初依頼×全属性の魔法とデザート作り

「ギルドの登録をお願いしたいのですが」

「はい。畏まりました。そちらの方も含めて三名様でございますか?」

「俺は既に登録済みでね、これを見てくれば分かると思うのだが」

「・・・・なるほど、それの扱いに関して全ギルドにマニュアルがありますので貴方達二名様のギルド登録を済ませます。初めてなら簡単に登録の説明をさせて頂きますが」

「お願いします」

エルゼとリンゼに見られても困らないようギルドカードではなくプトレマイオス神国しか発行されないカード、これはギルドや王族らに見せる物で主に身分証明書のようなもんだ。

漆黒ランクは俺で言うブラックカードを指す、ここだと黒から始まるそうだが漆黒は更に黒と銀に染め上げた色。つまりこのランクを持つ者が神国の関係者だと分かるようにし、王族だけが知る赤龍帝の籠手などもな。

二人だけ登録だけど依頼者の仕事を紹介して仲介料を取るのがギルド、仕事はランクによって難易度が分けられている。下級が上級の仕事を受ける事は出来ないが、同行者の半数が上位に達していれば下位であっても上位の仕事を受ける事が出来る。

『依頼完了すれば報酬をもらえるが、失敗を数多くすれば違約料を払わんといかんし悪質だと登録抹消なのか』

『そうすると別の町にあるギルドでも再登録できない、五年間依頼一つ受けない怠け者もな。複数の依頼は受けられんが』

「以上で説明を終わらせて頂きます。分からない事があればその都度、係の者にお尋ね下さい。ではこちらの用紙に必要事項をご記入下さい」

受付嬢が二枚の紙を手渡してもらい書いてる二人共。登録用紙を受け取って黒いカードをその上にかざして呪文を囁く、その後に小さなビンを差し出して自分の血液をカードに染み込ませる。

ピンで指を刺してカードに触れると白い文字が浮かんでくる、このギルドカードには本人以外が触れると灰色になってしまう魔法が付与されている。偽造防止の為であって、もし紛失とかだと再発行には金が掛かる。

『相棒のカードをこの姉ちゃんが触れても同じ効果なのか?』

『俺が持つカードを受付嬢が触れても同じ効果だと思えるよう細工してある。これ一枚で身分証明書やギルドカードにマネーカード、まあここでは使わんが金使う時に空間から取り出すが』

「以上で登録は終了です。仕事依頼はあちらのボードに貼られていますので、そちらをご確認の上、依頼受付に申請して下さい」

「やっと終わったか。さて、何をしようかね」

「一真は私達より先に登録してたから待ったでしょう。何か初心者向けのとかあるの?」

「これなんかどうだ?東の森で魔獣討伐、一角狼を五匹だから報酬もそこそこで手始めにいいのでは?」

俺は初心者向けにと提案すると報酬見て納得した様子、銅貨十八枚だし、早速受付に申請しに行ったエルゼ。武器も持ってるからすぐに行けるが、確か本来の主人公だと武器持ってないから武器屋に行って調達するとこがあった。

イーシェン出身だから刀にした訳だが、俺の出身地はイーシェンではなくプトレマイオス神国。主人公が取った刀は金貨二枚で滅多に入荷しないレア物、使い手も限られてる。防具は特にいらん、だがエルゼは脚甲であるグリーブ(脛から足の甲まで覆う鎧)とリンゼは銀のワンドを買うから来てた。

彼女達の戦闘スタイルは前衛エルゼが打撃攻撃、後衛リンゼが魔法攻撃らしい。道具屋にも寄るかと聞かれても既に持ってるから必要無し、東の森はリフレットから歩いて二時間は掛かる距離にあるらしい。

「ここから二時間か、早速これを使う時が来たようだな」

「これは何ですか?」

「俺の国だとよくあるもんでな、馬車もいいがこれだと乗りやすくて思わず寝てしまいそうなぐらいにな」

「へぇー・・・・一真の国はイーシェンとは違うみたいだけど」

「イーシェンやここよりも技術発達したからな」

空間からゼロを呼び出し、ビークルモードのままだけど森はオフロードの方がいいと思って軍用車にした。エルゼとリンゼは初めて見るのかビビってたが、いざ乗ってみるとホントに寝てしまいそうな勢いでもあった。

エンジン音をカットしたから馬車が通る度に後ろから見られる視線には慣れた、東の森に到着後、俺は二人の力を見極める為に別行動だと言って後方で待機。狙撃銃から見るとちょうど二人の前に獣がいた。

「ふむ、あれが一角獣か。仕留めやすそうだ」

二人も立ち止まり戦闘態勢に移行し、大型犬五匹だと聞いていたが十匹とは。エルゼは襲い掛かる獣と立ち向かい渾身の一撃を狼に叩き込んだ、ガントレットの拳によるダイレクトアタックを喰らって地面に倒れた。

一撃必殺だけど隙を狙って襲い掛かろうとしても遅い、狙撃銃により簡単に頭を狙ったからエルゼから見ると襲ってくるかと思えばそのまま倒れて息絶える。との事、そのまま狙い撃ちによって六匹仕留めた。

「一真は一体どこから攻撃してるの?」

「私も分からないけど、今は一角獣の群れを倒そう・・・・【炎よ来たれ、赤の飛礫、イグニスファイア】」

なるほど、あれがこの外史で使う魔法か。狼一匹を火達磨にしてたが、エルゼの方を見ると回し蹴りを喰らわせて一匹は炎に焼かれて最後の一匹は狙撃銃によって全滅させた。

「お疲れさん、二人の動き見てたけど流石は姉妹だと感心したよ」

「一角獣は十匹討伐したけど、一真が半分倒してくれて助かったわ。でも一体どこから攻撃してたのか」

「俺は他の冒険者とは違うのさ。だから初心者ではないし、一角獣十匹討伐なのは俺がいるからかもしれん」

「つまり一真さんがいると討伐数が変化すると?」

「簡単に言えばそう言う事だが、俺の戦闘スタイルについては後々分かるとしてさっさとこれを持って帰ろうぜ」

十匹仕留めた証拠として一角獣の角を持ち帰るが、持っていた剣で斬り落として空間に入れて届ければミッションコンプリート。森を抜けて再度ゼロに乗り町の前まで、俺らはその足でギルドに立ち寄り報酬を受け取る手続きする事に。

「はい、確かに一角獣の角が十本、ですが五匹分多い気がしますが」

「本来なら五匹分の報酬となるがこれを」

「・・・・なら報酬分を上乗せ致します、ギルドカードの提出をお願いします」

二人のカードを差し出すが、俺のカードはまだ出さないで専用機械をスタンバイした。受付嬢はカードの上に判子のようなもんを押し付けるが、アレは依頼ランクによって押される判子。

カードに押された判子の情報が蓄積されてランクアップして色が変わる仕組み、初心者は黒だそうで黒・紫・緑・青・赤・銀・金の順に上がる。俺の番が来たのでカードを置くが専用機器に接続された端末に判子情報を打ち込んでからタッチ。

「それではこちらが報酬の銅貨十八枚ですが、こちらの方の報酬は既にお渡ししましたので。これにて依頼完了となります、お疲れ様でした」

「一真の分は?」

「俺のは貰ってるから二人で分けてくれ、それより初依頼成功って事で軽く食事でもしないか?」

二人で八枚ずつ分けてからギルドを出て質問された、夕食には早いが車で二時間が往復で一時間であろうとも戦闘後は腹が減る。町中にある喫茶店に入り、軽く話した後に質問してみた。読み書きは端末通してるから問題無し。

「リンゼ、魔法って適性があれば使えるの?」

「魔法、ですか?確かに生まれ持った適性によって大きく左右されます。適性がない人は何をやっても使える事はありません」

「適性があるかどうか調べる方法は無いの?」

俺の質問にリンゼは腰のポーチから魔石を取り出す、正直俺は魔法を使えるがこの外史でも使えるかまだ分からない。魔石ってのは、魔力を増幅したり蓄積や放出が出来る。ちょうど手の平サイズなら適性があるか判断できる。

「お姉ちゃんは、水の魔法を使えない代わりに魔力による身体強化魔法が使えます。逆に私は身体強化魔法が出来ませんし、身体強化魔法にも適性が必要なのです」

「なるほど、破壊力の源はそこから来てるのか。魔力は誰でも持っていても適性が無ければ力を使う事が出来ない訳ね、ここでやってもいいけど嫌な予感するから外出ようか」

姉妹は疑問符だったが、喫茶店から外に出て青い魔石を持って魔力を流すと大量の水が出たからだ。

「一真さんがなぜ外に出たのか理由は分かりましたが、魔力量が桁違いに大きかったとしか。こんな小さな魔石を触れて無詠唱なのに・・・・魔力の質も」

「つまり魔法使いに向いてるって事よ、アンタは。私も絶対に見た事がないぐらいだもの」

外で放出して正解、宿屋に着くと夕方なので魔法に関してはまた明日になった。本来ならリンゼに読み書きを教えてもらう事なのだが、俺には端末があるし書いた文字が変換される機器も持っている。

俺がよく使う日本語もこの辺りだと俺しか使えない文字、多分イーシェン辺りなら使えそうかもしれないが俺はそこ出身じゃないのでスルーとなって自室に戻る。夕食も済んだが、暇なのでドライグを外に呼び出した。

「やっと外へ出られたが、ここが新たなる物語か」

「まあな。空間に夕食の断片を取ってきたが食うか?ドライグ」

「おうよ。ところで相棒の出身がイーシェンとされてたがマップで言うとどこなんだ?」

「イーシェンは・・・・ここから東だな、それも大陸の果てにある島国は俺らの知る日本と変わらないのかもしれん」

スマホを投影型機器にセットして見てたが、明日はリンゼによる魔法適性の続きだから早めに寝た。次の日はギルドの依頼をエルゼに任せて俺とリンゼによる魔法講座、エルゼはやる事が無いので一人で出来る仕事に行ったらしい。

「リンゼ、昨日の続きをやろうか。魔法には属性があるとか」

「よく知ってますね。全部で七つの属性があり、火・水・土・風・光・闇・無、ちなみに私は火・水・光の三つが使えますが、他四つのは初級魔法も使えません。火属性が得意で光属性は苦手です」

「この地に来てから魔法を知ったから独学で学んだよ。光は神聖魔法で治癒魔法も使えて、闇は主に召喚魔法だったか」

「はい。契約した魔獣や魔物を使役する事が出来ます。無は特殊な魔法でして、個人のみ使える魔法が大半です。お姉ちゃんの身体強化もこの属性です」

無属性魔法以外は魔力と適性と呪文が揃って発動するが、まだ適性が分かってないフリをして他の魔石を触れて無詠唱でやってみると全ての魔石に反応が出た。当たり前だけど俺は魔法が使えるのは分かってた事だから。

魔力で生み出された水や炎は大きすぎて威力を調整する必要性を感じさせる、黄色は土で緑色は風と各属性に色が付いていて無以外の属性が使える事を改めて確認を終えた。

「凄い、六つも属性が使える人は初めて見ました。私は三つ使えますがそれでも珍しい方だったので」

「実際無詠唱で使えるってのが分かったからいいとして、無の魔石はどう使うの?」

「特に呪文が決まってなくて本来なら魔力と魔法名だけで発動しますが、一真さんは無詠唱で発動しますから」

「エルゼの身体強化は【ブースト】だっけ?他だと【パワーライズ】や【ゲート】とかもあるんだろ」

筋力増加の【パワーライズ】に遠くに移動できる【ゲート】が珍しいとか。エルゼはこの二つは使えないらしく、エルゼが言うにはある時何となく頭に思い浮かぶとか。無属性魔法は個人魔法と呼ばれて全く同じ魔法を使える人は滅多に居ないし、複数の無属性魔法を持つ者は稀なのだと。

「さっき言った【ゲート】だと俺流で使えば行った事のないとこにも行けるよ、試しにやってみるか【ゲート】」

「・・・・まさか無属性魔法も使えるとは思ってもみませんでした。この先はどこに繋がってるのでしょうか?」

俺のゲートは行った事のない場所まで移動できるが、今回は行った事のある場所へと繋げた。半透明のドア?のような壁が出現し、触れてみて大丈夫そうだと思い顔を突っ込むと尻餅を付いてるエルゼがいた。

「何してんだエルゼ」

「なっ、何って・・・・一真!?どうなってんのこれ!?」

「何ってゲートを使ってみたのさ、リンゼも一緒にね」

リンゼの手を引いて来たが、パニックになってたエルゼをリンゼが簡単に説明すると術者が行った事のある東の森に繋がったとか。エルゼはここで病に効果のある薬草を採取してたとこに、突然光の壁が現れて腕が出たりしたから腰を抜かしたんだと。

「にしても全属性使えるって、絶対おかしいわよ」

「私も全属性が使える人など聞いた事ありませんが、これはとても凄い事です」

「行く時は二時間掛かったけど、これなら最初から使えばよかったんじゃない?とても便利な魔法ね」

「まあな。俺は元々魔法使えたんだが、ここに来て魔法が使えるか分からなかったのでね」

ここで魔法使えます発言したが、何故全属性使えて今まで使わなかったのか軽く説明してから宿屋に戻る。エルゼも採取が終わり依頼終了の為か、ギルドへ行ってしまった。

俺らが食堂に戻るとミカさんともう一人の女性がいた、歳はミカさんと変わらないけどウェーブが掛かった黒髪に白エプロンしてると言う事は厨房関連の仕事をしてる人だろうか?二人の前に料理が置いてあり、もしや試食でもしてるのかな?と思った。

「ちょうどいいとこに戻ってきたじゃない」

「俺らに何か用か?」

「この子はアエルって言ってね、街で『バレント』と言う喫茶店やってるんだけど・・・・」

「そこなら昨日行った喫茶店がその名だったな、あそこはいい雰囲気を持った喫茶店だった」

「でね、その店で新メニューを出そうか考えていてね。アンタ達にも聞いてみたいと思ってさ、別な国の人なら何か珍しいメニュー知ってるかもと思ったのよ」

「何かいい料理があれば教えてほしいです」

「で、どんなのを出そうと考えてるんだ?」

「そうですね・・・・やっぱり軽く食べられる物かな~デザートみたいな女性受けする物なら」

ここで俺の料理スキル発動、女性が喜ぶデザートならアイスかクレープだがここはチョコレートパフェを作ろうと思った。ここでは無い料理だから俺以外の者は知らない様子、冷蔵庫や冷凍庫もない世界なんだっけ。

代わりとして氷を使って冷やせる事が出来るならそれで、作り方も分かるので俺はその場で材料を書き始める。ミリリットルとグラムはここだと別名らしいので、まずはアイス作りからスタートとなった。

材料を準備してもらってアエルさんは俺の手の動きを見ながら真似して調理していく。アイスを作りフルーツをカットして皿に盛りつけをし、焼き菓子をトッピングすれば完成。俺が試食しても美味しかった。

「・・・・とても美味しい!」

「何だいこれ!冷たくて甘くて美味しい!」

「美味しいです!」

「ま、こんなもんだろう。氷の魔法さえ使える人がいれば問題はない、女性受けや甘い物が好きな者でも食えそうだから新メニューとしては充分過ぎるぐらいかな」

「はい!ありがとうございます!チョコレートパフェ、使わせてもらいますね」

「チョコレートパフェから派生するデザートのレシピも書いといた、それも使ってもらえると嬉しい」

アイスクリームや焼き菓子も作れば女性受けにピッタリだから、アエルは早速自分で一から作りたいと言って自分の店に戻る。後々になってギルドから戻ったエルゼが話を聞いて食べられなかった事を不満爆発、だから空間にあるエルゼの分をその場で出してみた。

「超美味しいじゃない!これがチョコレートパフェ、こんなの作れる一真はどんだけなのよ!」

「俺は何でも出来る者なのでね、料理スキルも持ってるから道具と材料さえあれば何でも作れるよ」

空間から物を出すのも無属性魔法か?と聞いてきたリンゼにそれは違うと言っといた、空間から物を取る行為は魔法ではなく能力に近い。正しくは空間切断によるもんだが、今ここで言う事ではない。なお料理スキルが別名『女殺し』なのに落ち込まないのは手を抜いただけだ。 
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