夢幻水滸伝
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第七十話 山と海その四
「そしてや」
「はい、このままですね」
「大和の方に進む」
「そうしていきますか」
「そや、あと少しや」
その大和までというのだ。
「そやからな」
「はい、進んでいきましょう」
「この山を」
「正直山ばかりでな」
それでとだ、今度は香菜が言った。
「進むのも大変やけど」
「それでもな」
「しっかりと進んでいこうな」
「そして紀伊も完全に勢力圏に収めるんや」
「関西の」
こう話してだった、二人も兵を率いて紀伊の山地を進んでいった。そうしてそこを関西の勢力圏にしていった。
そして大和との国境となっていると思われる場所に入ると。
すぐにだ、芥川は二人に貝殻で連絡を入れてきた、彼は二人に言ってきた。
「今丁度な」
「はい、何処ですか?」
「師匠何処におられます?」
「牛廻山や」
そこだというのだ。
「そこにおるわ」
「あっ、僕等そこです」
「そのすぐ傍にいます」
「ほな今すぐにですね」
「会えますね」
「そやな、感動の再会やな」
芥川は二人に貝殻の向こうで笑って話した。
「もうすぐな」
「そうですね、そしてです」
「大和と紀伊は」
「これで完全にや」
まさにというのだ。
「関西の勢力圏になった」
「そうなりましたね」
「これで」
「ああ、よおなったわ」
まさにと言うのだった。
「見事な」
「これで今回のお役目は成功ですね」
「無事にそうなりましたね」
「大和も紀伊も完全に領国になった」
関西の、というのだ。
「山を進むことには苦労したけどな」
「空船があっても」
「忍の者でしたけれど」
「それでもでしたね」
「随分苦労しました」
「そやな、けれどな」
これで、とだ。芥川は二人に話した。
「無事にや」
「お役目は成功」
「さっき私等で話した通りですね」
「そや、ほな再会したらな」
芥川は二人にそれからのことも話した。
「軍勢を収めてな」
「そして軍勢を連れて」
「そうしてですね」
「都に凱旋や」
綾乃達が待っている彼等の拠点にというのだ、こう話してだった。
三人は実際に再会してから意気揚々と二国を完全に勢力圏に収めた軍勢を連れて都まで戻った。そして綾乃にこのことを話すと。
綾乃はにこりと笑ってだ、二人に言った。
「おおきに。ほなな」
「これでやな」
「また二国手に入ったわ」
「そやな」
「これでや」
まさにと言う綾乃だった。
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