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夢幻水滸伝

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第六十九話 山賊征伐その八

「そやから降してくで」
「ほなまた出陣やな」
「そうするわ」
 こう言ってだ、芥川は今度は吉野の悪党達との戦に入った、彼等もまた桜井の山賊達と同じく山を寝床にしていたが。 
 芥川はその山に七千の兵を率いて向かった、ここで彼は狐に乗って空からその山を見ていた。そうして自分達の周りを見て言った。
「今回は空船も使ってな」
「空からもやな」
「攻めていくわ、相手の悪党は翼人とか天狗がおるみたいやが」
「棟梁が天狗みたいやな」
「僕と同じやな」
 種族としてはとだ、芥川は述べた。
「そこは」
「まあ天狗いうても烏天狗と大天狗がおるけどな」
 芥川は烏天狗の方だ、顔は赤くなく鼻も低い。
「確かその棟梁は大天狗や」
「そうか、そっちの天狗か」
「結構強いみたいやな、それでこの吉野の辺りでな」
「悪党共を束ねてか」
「山の中にいる民を治めてるらしいわ」
「山の民か」
 山の中にいる民と聞いてだ、芥川は気付いた様にして言った。
「というと」
「知ってるんか」
「ああ、起きてる時の世界の本で読んだわ」
 それで知っているとだ、芥川は狐に答えた。
「日本では人は平地に住んでるモンが大抵やが」
「街や村でな」
「そうでないモンもおってな」
「その連中を山の民って呼ぶんやな」
「僕等の世界でもまだおるらしいな」
 このことは間違いないらしい、大戦中までは山に行けば今よりも会う確率が多かったという。
「真相がわからんが」
「そっちの世界でもおるか」
「人は色々な場所に住んでる」
「それで山にもやな」
「こっちの世界での鬼や土蜘蛛は元々そうやったと言われてる」
「鬼は種族、土蜘蛛は妖怪や」
 狐はこちらの世界の話をした。
「そこはやな」
「随分違うな」
「そやな、しかし山におる民も知ってるか」
「ああ、ほなその山の民を加える為にもな」
「悪党を降すか」
「山の民も民や」
 芥川はきっぱりとした声で言い切った。
「そやからや」
「勢力に加えていくな」
「そうする」
 狐に強い声で答えた。
「空船で上から攻めて上から山におる軍勢を誘導してな」
「空と山で連携してくか」
「そうして攻めていく」
「考えてるな」
「空からも攻められるんやったらそこも使わなあかん」
 空から攻められる利点、それをというのだ。
「それでや」
「空からもか」
「攻めて山におる軍政も誘導してな」
「山からも的確に攻めていくか」
「勿論僕等も攻めるで」
 芥川も狐もというのだ。
「采配執りつつな」
「ほなな」 
 狐も頷いた、そうしてだった。
 まずは悪党達がいる山を囲む様にして軍勢を動かした、それまでも散発的な戦闘があったが空と山の連携で敵を全て退けた。
 山を囲んでだ、芥川はまずは空から自身が率いる軍勢の周りを空から見て言った。
「よし、敵の伏兵はおらんな」
「ああ、気配も感じんわ」
 狐もこう答えた。
「囲んだ軍勢を外から攻める様なな」
「無事悪党は全部山に追い込んだな」
「上手くいったわ」
 そうしようとする悪党もいたが全て攻めて倒すか降した、死んだ者は今は骸を横たえさせて腐らない様にしている。 
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