八条学園騒動記
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第四百八十七話 ざわざわとその二
「けれどね」
「ざわざわの方は」
「いいわね」
こう言うのだった。
「是非ね」
「舞台にですか」
「取り入れたいわ」
「では」
「そう、そのやり方ね」
まさにと言った部長だった。
「問題は」
「舞台の下から言うのではなく」
「他のやり方でいきたいけれど」
「ではどうしますか」
「音声で入れようとね」
このやり方でというのだ。
「考えているけれど」
「舞台の外からですか」
「そう、音楽みたいにね」
「成程、それだったら」
「いいでしょ」
「はい」
アルフレドは部長のその提案に確かな声で答えた。
「それで」
「それじゃあね」
「演劇部の方はですか」
「それでやってみるわね」
「ざわざわの方は」
「あの演出本当にインパクトがあるから」
だからとだ、部長もアルフレドに話した。
「読んでみて思ったの」
「これはいけると」
「漫画の演出だけれど」
「舞台にもですね」
「取り入れてもいいってね。ただね」
「ただ、とは」
「問題があるわね、漫画だとね」
元のこの媒体の話をする彼だった。
「音が絵に出てるでしょ」
「効果音みたいに」
「あの声は元々効果音扱いだったし」
そのざわざわという声はというのだ。
「そうでしょ」
「それが人気が出たので」
「今も使われているから」
「だからね」
それでというのだ。
「そこを考えているの」
「音は出せても」
「効果音みたいに目には出ないから」
漫画のそれの様にだ。
「そこが問題ね」
「そういえば」
部長の今の言葉にだ、アルフレドは気付いて言った。
「漫画をアニメ化した場合効果音は」
「普通になるわね」
「画面には大抵出ないです」
「漫画の売りの一つよ」
効果音を絵に出す、それはというのだ。
「そうでしょ、だからアニメではね」
「ただ音がするだけですね」
「それで終わるけれど舞台も同じで」
「あのざわざわも」
「してもね」
それでもというのだ。
「それが生きるかどうか」
「声だけだと」
「そこが気になっているの」
「そうですか」
「一度テストでやってみるけれど」
「成功したらいい、ですか」
「失敗したら」
実際にその場合を気にしている部長だった。
「その時はもうね」
「諦められますか」
「ええ、あのインパクトがなければ」
漫画に出るそれがだ。
「その時はね」
「止めてですか」
「この演出は止めるわ」
そうするというのだ。
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