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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第百七十五話 カレーを三人でその五

「ジャガイモも」
「確かにね」
「日本の倍位の量よ」
「それだと主食の一部かな」
「まあドイツとかは別格だけれど」
 こうした国だは主食だ、あとアイルランドでもそうだ。
「それでもね、お肉だとやっぱりね」
「ジャガイモだね」
「ジャガイモを食べたら脚気にならない?」
 チェチーリアさんはふとこうしたことも言った。
「そうかしら」
「ジャガイモですか」
「脚気にはいいのかしら」
「どうでしょうか、むしろジャガイモを食べるとお肉食べたくなるので」
「お肉がなのね」
「脚気にいいかと」
 こう思った、正直なところ。
「そちらの方が」
「そうなのね」
「まあ白米だけですと」 
 これは言えた、実際に江戸時代から日露戦争が終わって暫く経つまで日本人はこの食事のせいで脚気に苦しめられてきたからだ。
「よくないです」
「そうなのね」
「森鴎外はドイツではパンやジャガイモを食べて」
「お肉もよね」
「ソーセージ食べてたでしょうね」
 森鴎外の作品で食事はあまり記憶に残らない、この辺り谷崎潤一郎とも違うし池波正太郎となると余計にだ。だからあまりこうしたことははっきり言えなかった。
「やっぱり」
「それじゃあね」
「脚気はね」
「関係なかったですね」
「そうよね」
「ただ、あの人は本当に」
 脚気についてはだ、森鴎外が医師としてしたことは。
「問題がある人でした」
「そうよね、義和のお話を聞くと」
「無茶苦茶酷いですね」
「そのせいでどれだけの人が死んだか」
「そう思うとどうにも」
 森鴎外という人自体がだ。
「評価低くなりますよね」
「かなりね」
「僕もです」
「あれっ、森鴎外ってあの人でしょ」
 ニキータさんも森鴎外の名前を聞いて僕に言ってきた。
「日本の文豪の」
「あの人だよ」
「お医者さんって聞いてたけれど」
「お医者さんとしてはね」
「よくない人だったの」
「実績が酷いんだ」
「その脚気のことで」
「うん、脚気の治療法を見付けられなかったんだ」
 ニキータさんにも話した、森鴎外のこのことを。
「脚気菌があるって聞いて」
「それでだったの」
「うん、脚気が食事でかかる病気って知らなかったんだ」
「そうよね」
「そう、それがね」
「脚気菌の発見にこだわって」
「発見出来なくて」
 それでだった、とんでもないことに。
「その間に戦争でかなりの人が死んだんだ」
「戦死じゃなくて」
「うん、戦死者も多い戦争だったけれど」
 日露戦争ではそうだった、日清戦争よりも遥かに損害が大きかった。特に旅順要塞攻略戦や奉天の戦いでは沢山の人が死んだ。そうして得た勝利であっただけに非常に大きな意義もあった。その意義は覚えておきたいと思っている。
「脚気でもね」
「沢山の人が死んだのね」
「そうだったんだけれど」
「森鴎外のせいなの」
「責任があるんだ」
 何しろ陸軍に麦飯が行くのを全力で阻止していた、それで責任がないとは絶対に言えない。 
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