夢幻水滸伝
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第六十八話 会談成功その十一
「ほなすぐに征伐するわ」
「そうして頂けますか」
「賊なんか放っておけるか」
絶対にと言う芥川だった。
「それではすぐにや」
「その賊達をですか」
「成敗してや」
そしてというのだ。
「民の不安を取り除く」
「そうして頂けますか」
「ああ、しかしその賊共はな」
ここでこう言った芥川だった。
「桜井から郡山まで来るんか」
「はい、時として」
その通りだとだ、領主は芥川に畏まって話した。
「我々も手を焼いています」
「そこまで強いか」
「強くしかも動きが速く」
それでというのだ。
「来るのも逃げるのも速く」
「それでか」
「この大和の北を荒らし回っています」
「わかったわ、ほなな」
「すぐにですか」
「その賊を成敗してくる、それで民の不安を取り除くわ」
「それは何よりです。拙者もこれで、です」
領主は芥川の返答に笑顔で答えた。
「芥川様達の陣営に降った介があります」
「そう言ってくれるか」
「はい、では家臣達をお願いします」
「自分もな。然るべき役に就いてもらうで」
「そうして頂きますか」
「ああ、勿論禄も出す」
それもというのだ。
「それで働いてもらうで」
「そうですか、拙者は芥川様の陣営においてですか」
「そうしてもらうで、十二分に働いてもらうで」
「わかりました」
「ただ子孫代々のこの土地は陣営のもんになる」
領主個人のものではなくだ。
「自分は官吏になるが子供や孫はな」
「違いますか」
「試験で通ったら官吏になれる」
「試験にですか」
「子供や孫を官吏にしたかったら勉強させることや」
その試験に通る様にというのだ。
「わかったな」
「はい、それはまたかなり違いますね」
「アメリカや中国ではそうしとる」
太平洋でもとりわけ勢力の強いこの二つの勢力はというのだ。
「ああした国々みたいにな」
「官吏をですか」
「試験で登用していく、それが嫌やったらな」
「この陣営を去れ、ですか」
「そうしてもらうことになる」
そうなるというのだ。
「去る者は追わずやからな」
「それでは」
「ああ、そういう風にな」
芥川は微笑んでそのうえでだった。
すぐに狐と共に桜井の方に行った、桜井は狐の力で空を飛んでそのうえで奈良から行くとすぐに着いた。
桜井に着いてその地の領主達に会うと彼等は口々に言った。
「はい、大和の他の地もそうですが」
「荒らされていますが」
「我々は特にです」
桜井にいる彼等はというと。
「田畑も家々も荒らされ」
「民達も攫われたりしてです」
「非常に困っています」
「あまりにも強く動きも速く」
「どうにも出来ないでいます」
「そうか、それでその連中がおる山教えてくれるか」
芥川は桜井の領主達に強い声で言った、見れば三輪等神社の神主達が多い。
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