レーヴァティン
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第七十四話 マルセイユからその十
「闘技場でどうして闘っているのかもな」
「そのこともだね」
「是非な、相当珍しい奴だな」
「やっぱり魔術師はね」
どういったものかとだ、淳二はそのベーコンエッグをフォークとナイフで切って黄身のところを口の中に入れてから久志に言った。
「今話に出た通りね」
「後ろから術を放つよな」
「そう、モンスターや賊相手の戦闘でも戦争でもね」
「どっちでもな」
「そうするものだよ」
「それが、だからな」
「闘技場で闘うとかね、ひょっとして」
淳二はふと気付いてこう言った。
「実は魔法戦士とか」
「魔術を使いながら剣も使うあの職業か」
「それかな。魔法戦士だったらね」
「剣で接近戦も出来るからな」
「そう、戦士や騎士みたいに鎧や盾も使えるし」
それだけの体力もあるというのだ。
「強力なモンスター相手にもね」
「自分がそれだけの格闘の技量があるとな」
「闘えるから」
「だからだよな」
「うん、出来ると思うけれど」
「そうだよな、それじゃあな」
「実はね」
魔術師という情報はというのだ。
「間違っていて」
「魔術は使ってもか」
「魔法戦士じゃないかな」
「そっちの奴か。確かにな」
「魔法戦士だとね」
「別に闘技場にいてもおかしくないな」
「そうだよね」
「ああ、じゃあもっとな」
久志は淳二の話を受けて述べた。
「情報収集していくか」
「このマルセイユ、そしてね」
「道中でもパリでもな」
「聞いていこう、そしてね」
淳二は今度は赤ワインを飲んでから久志にも他の仲間達にも話した。
「島の情報は何でもね」
「仕入れていくか」
「そうしていこうね」
「これまで通りな」
「情報は正確なものに限るけれど」
それでもと言うのだった。
「多ければ多い程いいから」
「だからどんどん仕入れないとな」
「そう、そしてね」
「仕入れた情報をな」
「正確かどうか分析する」
「その作業も必要だな」
「けれどまずは仕入れないと」
その情報をというのだ。
「お話にならないから」
「聞いていくか」
「ロンドンに行くまでもね」
これまで通りにというのだ。
「実際何も知らないんじゃ何も出来ないから」
「何でもな」
「旗揚げはもうすぐになってきたし」
このことについてもだ、淳二は述べた。
「だからね」
「余計にだな」
「そう、しっかりとね」
「ちゃんとな」
「聞いていこうね」
「そうしていくか、最後の奴以外のことも」
「何かとね。しかし本当にこの島は」
久志と話してからだ、淳二はこうも言った。
「沢山の領主や騎士団領、教会領があって」
「群雄割拠だな」
「そんな状況だよね」
「百じゃきかないかと」
夕子が言ってきた。
「その数は」
「何百だよな、大小合わせて」
「はい、それ位はあります」
「滅茶苦茶多いな」
「千あるかも知れないです」
夕子は飲んでいるが真顔で言った。
「冗談抜きで」
「島全体でか」
「それも何千と」
千は桁の問題だというのだ。
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