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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第百七十二話 ワーウルフの話その七

「そうしないと首なし馬が蹴飛ばすのだったわね」
「出会った人をね」
「それがないから」
「そう、その分ね」
 まさになのだ。
「温厚だしね」
「そうよね」
「ただ走っているだけだから」
 首無し馬に乗ってだ、首の方もそれはそれで学園の中に出る。
「そうしてるし」
「確か首の方は」
「博物館の中を漂ってるよ」
 それで身体の方にも飛んだりするらしい。
「首の方は」
「馬の首と身体が別々でござるか」
 このことについてだ、マルヤムさんは不思議そうな顔で言った。
「日本の妖怪は面白いでござるな」
「そう思うよね」
「口裂け女もでござるが」
「世界中の妖怪の話があるんだ」
 八条学園にはだ。
「この学園には」
「ではペナンガランは」
「マレーシアの吸血鬼だったね」
「あの妖怪は出るでござるか」
「確か出なかったよ」
「そうでござるか」
「あの妖怪は確か相当に危なかったね」
 この妖怪のことは僕も聞いている、かなりやばい妖怪だとだ。
「人の血を吸ってね」
「首が飛んでいるでござるが」
「首の下に内臓が続いていてね」
 そうしたかなりグロテスクな外見だ、しかし恐ろしいのは外見と人の血を吸うその習性だけではないのだ。
「内臓から血が滴っていて」
「その血に触れると熱病になるでござる」
「そうだよね」
「それで、でござる」
「ペナンガランはこのことでも怖いね」
「そうでござる」
「そう思うとね」
 このペナンガランという妖怪はだ。
「怖いね」
「他の吸血鬼よりも」
「というか首が飛ぶ妖怪はいるけれど」
 その首なし馬にしてもだ。
「首から内臓が続いているのはね」
「あまりないでござるな」
「かなり気持ち悪いね、けれどね」
 僕はここである妖怪を思い出した、その妖怪はというと。
「ブルガリアに似たというかそっくりの妖怪いるよ」
「ペナンガランとでござるか」
「うん、胃ぶらりんっていってね」
「胃、内臓でござるな」
「そう、首が飛んでね」
 まさにペナンガランの様にだ。
「人の血を吸うっていう」
「そのままでござるな」
「そうした妖怪の話があってブルガリアから聞いた子に話したら」
 この胃ぶらりんという妖怪のことをだ、中三の頃にした。
「知らないって言われたんだ」
「実はいなかったでござるか」
「何か聞いた話だと」
 その話をした後でだ。
「実はこの妖怪日本のある作家さんの創作だったらしいんだ」
「作り話でござったか」
「そうみたいなんだ」
 その実はだ。
「ペナンガランを元にしたね」
「そうだったでござるか」
「その実はね」
「そうした顛末だったでござるか」
「子供の頃一族で妖怪に詳しい人がいてね」
 今もだ、八条水産の社長さんをしている人だけれど妖怪マニアで妖怪に関する本をかなり持っていて僕にも話してくれる。
「その人に読ませてもらった本に出てたけれど」
「胃ぶらりんがでござるな」
「これがね」
 その実はだったのだ。 
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