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ハイスコアガール 前世がゲームオタクの俺がラブコメを展開するのは間違っている件

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インド人を右に……ダル〇ムは関係ない

あと少しで六年の一学期も終わりだ。終われば夏休みで好きなだけで自由な時間を40日も使える。それで興奮しない小学生などいるわけがない。俺にとって前世の記憶の社会人の5日の長期休みと比べたら本当に天国のようだぜ。

「矢口ハルオ」

「へい」

先生から俺の通知表を渡される。前世の経験があるから小学生の授業は楽勝だろと思うだろうけど、低学年なら確かに楽勝だったけど、高学年の授業となると忘れている所もあり、何よりゲームの比率が8割以上の為に成績もイマイチだけどな。

思うんだけど、ネット小説の転生主人公達は昔の授業内容をよく覚えていられるような。俺は覚えてられる自身はないわ。

「成績は平凡……ち、鉄拳制裁はなしだ」

おい。あんた先生だろうが、なに俺を殴る事ができなくて残念がってんだよ。

「お前みたいな授業もろくにきかん生徒が馬鹿というのがお決まり。何故、普通に勉強ができる」

「せめて心の中で言ってくれよ」

「やかましいわい!!」

逆ギレされたよ。この担任は本当に喜怒哀楽が激しいよな。まあ、確かにゲームのやりすぎで睡眠不足になって授業中に寝ちまう事もそれなりにあったから先生から恨まれて罵倒されても文句も言えないけどな。

「だが、大野は素晴らしい、オール5だ。先生から特別にアメ玉をやろう」

出来る生徒には甘く、成績が悪い生徒は目の敵にして見下す。典型的な先生だようなこの人。クラスの連中も、この成績だけで態度が豹変する先生に対してはあまり好きではなく、基本的に嫌っているからな。まあ、先生どう思われようが俺は別にいいだけど。

なお、俺の成績はオール3。一応、おふくろに説教されずに済むぜ。よかった。

ーーー。

学校も終わって明日から時間も気にしないで自由な夏休み。それもあって帰宅する生徒達は……主に男子ははしゃぎまくっていた。明日から何をしようかと友人達と語り合っていた。無論、俺も明日からはゲーセン通いと家でも家庭用ゲームをやりまくる気満々だ。今日も何時ものように行きつけの一つの駄菓子屋ゲーセンに行こうと思ったら何時ものように大野と出会った。

明日から夏休みだって言うのにスゲーしょげてる。

「……(しょぼーん)」

「何でそんなにしょげてんだよ大野。明日から夏休みだぜ。自由な時間が……あ」

そうだった。こいつは家の方針が厳しいだ。当然のように夏休みが入れば朝昼晩と家での英才教育が待ってるんだ。そう考えれば憂鬱になるのも無理はないか。

「そういえばお前の家って規律に厳しいもんな。すると、夏休みは稽古漬けの毎日か?」

「……(ため息)」

「まあ、無理もねえか……」

何かこいつが元気になる秘訣でもねえかな……。こいつの趣味が今のところゲームしか俺は知らないし……俺の行きつけのゲーセンもこいつは知っているわけだからな。

あ……そうだ。

「大野。ずいぶん前だけど、少し遠い所にゲーセンの聖地みたいな場所があるって噂を聞いたんだけどお前は知ってるか?」

「……(ふるふる)

「やっぱ知らねえよな。都市伝説だけど、実は1プレイでスト2が10円で出来る場所なんだぜ」

都市伝説。1990年代は、まだネットが復旧してない時代であるため人の噂が本当かウソかは直ぐにわからない。そのため噂が噂を呼び、それが人に電波していくが、殆どの例外を除いて基本的にガセネタであり、そのようなネタが都市伝説的となって噂が評判になる事もあった。


「嘘か本当か知らねえけど、俺はそれを確かめにいくけど来るか?」

「……(こく)」

「ならいくか。俺の家にランドセルを置いて、チャリで現場にいくか」

こうして都市伝説が本当か確かめる為に俺達は噂を頼りに現場に向かう。GPSによる道案内が出来ないために、わからない道は地図に見て確認するのが、この時代のやり方だ。そのため多少は道に迷いはしたが、何とか目的のゲーセンにたどり着く事ができた。

ーーー。

「確かにつく事が出来たけど……本当にここなのかよ」

「……(不安げ)」

俺達が到着した噂の都市伝説のゲーセン【フロンティア】明らかに怪しさ全開の入る事を躊躇しそうな古い建物で、しかも地下のゲーセンだ。とてもではないが都市伝説の噂通りのゲーセンの聖地とは思えないな。

「とりあえず入るか。入って確かめない事には噂が本当かガセネタなのか判らねえし」

俺と大野はビビりながらも地下のゲーセンに足を踏み入れる。ゲーセンの中に入ると、そこはアンダーグラウンドと言ってもいいほどに薄暗いゲームセンター。俺達みたいな小学生が入る事を躊躇しそうな雰囲気のゲーセンだ。今時逆に珍しいくらいに雰囲気が暗いゲーセンだと俺は思う。

「おい大野。こいつはスペースインベーダーだ。しかもアップライト筐体だぜ」

スペースインベーダー。1978年に稼働したタイトーが開発したアーケードゲーム。日本にスペースインベーダーブームと呼ばれる程に日本で大成功を収めた。インベーダーブーム時はスペースインベーダー専門のゲームセンターのインベーダーハウスや、インベーダーを目的に客を呼び込む喫茶店インベーダー喫茶という店が多く営業されていた。

しかし、そのブームの裏には100円偽造や学生によるスペースインベーダーをプレイする学生をターゲットにカツアゲをするという事を代表にゲームセンターを不良のたまり場という認識を当時のPTAに持たれて社会問題にも発展した。


「こいつをプレイすると独特な緊張感があるだろ。ずいぶんと古いレトロゲームだけど、今の俺達がやっても思わず夢中になる面白さだ」

「……(んふ~)」

大野と俺はスペースインベーダーをプレイした。このデュ……デ……デュという効果音とインベーダーを倒す度に敵のスピードが増していく感じが本当にたまらねえ。前世の頃はインベーダーブームを知らなかったけど、銭湯に置いてあったテーブル筐体のスペースインベーダーをプレイしたのが、俺がスペースインベーダーを初めてプレイした記憶だったな。

それからしばらくしてゲームオーバーとなり、ゲームセンターの検索を再開した。

「ドンキーコングにゼビウスにギャラクシアン……おいおいアーケード版のスーパーマリオブラザーズまであるぜ。ここは名作のレトロゲームの見本誌のようなゲームセンターだな」

これは完全にガセネタを掴まされたなかな。ラインナップは完全に古臭いゲーセンだ。明らかに俺達の地元では稼働してないレトロゲームが沢山あるし。スト2の気配がまるでしねえな。ていうか10円でスト2が出来るなんて、俺が知っている限りだと、前世の平成の頃の時代の秋葉原のHEYくらいだしな。


「……(くいくい)」

「どうした大野」

「……(指を刺す方向)」

大野が指を刺した方向にテーブル筐体じゃない筐体があった。そこは四台ほど横一列に稼働していたスト2だった。料金は10円だった。

「マジであったよ10円スト2!」

「!?」

大野も驚いた様子だ。しかし、他のゲームが50円なのに対してどうしてスト2だけが10円なんだ?

「まあ、試しにやってみるか」

俺は試しに10円を投入してスト2を始める。選択キャラはガイルにしてゲームを進めるとある事に気が付いた。

「なんだこれ!明らかに序盤のステージのCPUの反応じゃねえだろ!」

今までのゲーセンのCPU戦が優しく思えるほどの超反応で叩き落としていくCPUに思わず愚痴をこぼす。実際に今までCPU戦で倒したパターンが違って凄く苦労した。結局、俺は中盤まで進めたが、そこで俺は力尽きて負けてしまった。

『YOU LOES』

「くそ!」

CPUのレベルはMaxであり、コンテニューは無し仕様だ。これは完全に10円にして稼働率を上げるように早く新しいプレイヤーに参加してほしいための仕様だろ。

『YOU WIN』

「……(どやぁ~)」

こっちは普通に問題なくクリアしてるし。しかも重量級でもメインのザンギじゃなくて本田でノーミスクリアとか凄すぎだろ。

「次は対戦だ。10円だから沢山対戦できるからな。勝負だ大野」

こうして始まった10円でプレイできるスト2対戦台。10先で大野とプレイしたが結果は俺の惨敗。リュウやガイルを状況に応じて変更して戦ったが、キャラ変更もしないでザンギ一択の大野に10-5で負けてしまった。

序盤は俺が押していたが、対戦するたびに大野に押されていき、ついに何も通らなくなって大野に先読みスクリュードライバーを食らって後は何も抵抗出来ずに俺は終わった。

なお、今回の都市伝説は半分は本当である事が分かった。ゲームの内容は万人受けするラインナップの内容じゃなくて、ゲーセンの聖地とは言い難いと思った。まあ、スト2に関してはCPU戦のレベルMaxとコンテニュー無しはキツイけど、それを抜きにして対戦台とだけ考えれば満足のいく結果だ。1プレイ10円はやっぱり嬉しいからな。

 
 

 
後書き
簡素なゲーム用語

HEY秋葉原店 タイトー直営のゲームセンターで秋葉原店。現在では二階のシューティングゲームの種類は豊富であり、それを目的に訪れるスコアラーも多く、3階には1プレイ10円で出来る電子マネー専用筐体のスパ2Xが四台ほど稼働しており、平日休日問わずにスト2プレイヤーが多く訪れている。今回の物語の10円スト2は、このHEYがモデル。

スペースインベーダー タイトーが発売したアーケードゲーム。本編でも説明したが、日本でインベーダーブームが起こり、社会現象まで起こした超名作であり、多くの家庭用ゲーム機に移植もされた。後に発売されるシューティングゲームに多大な影響を与える。

スーパーマリオブラザーズ(アーケード版) ファミコンで販売されたスーパーマリオブラザーズのアーケード版であり、内容も家庭用と大差はないものの、色々と変更点もあり、難易度はアーケード版の方が上。

超反応 人間に不可能なCPUの反応層度の事。1990年代前半のCPU戦の大半は、超反応する事が殆どであり、ゲームや難易度によってはパターンでハメないと勝てない事もざらであった。現時点で有名な反則クラスのキャラや超反応のキャラは、カイザーナックルのジェネラルと、アナカルハート2のパラセ・ルシアが有名。

ゼビウス ナムコが開発したシューティングゲーム。ギャラクシアンやギャラガとならぶナムコを代表するシューティングゲームであり、後にファミコンに移植された。なお、このゲームはファミコン初のキラーソフトとも呼ばれている。

ギャラクシアン ナムコが開発したシューティングゲーム。インベーダーブームが落ち着いて後に、インベーダーの後釜のゲームとなり、ゲーム会社ナムコの名を広めて不動の地位を築いたパックマンに並ぶナムコの代表作の一つ。

アップライト筐体 プレイヤーが立って行う筐体。ゲーセン黎明期はスペースインベーダーやドンキーコングの専用筐体は、アップライト筐体が有名であり、駄菓子屋ゲーセンも、ミニサイズのアップライト筐体であった。現在のアーケード筐体はミディタイプ筐体が主流であり、アップライト筐体のタイプは、メダルゲームや専用コントローラーを使用するガンシューティングゲームに用いられている。 
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