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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第百七十二話 ワーウルフの話その二

「いないからね」
「ええ、そもそもね」
「その生きものがいないとね」
「憑きものもいないわ」
「そうだよね」
「狼男は遺伝の場合もあるというけれど」
「あれも憑きものだよね」
「その場合もあるわ」
 あと吸血鬼の眷属だったりする、吸血鬼と狼男即ち人狼は東欧では密接な関係にある場合もあるのだ。
「日本にもお話があるし」
「狼憑きとかね」
「人狼ともいうわね」
「その話があるね」
「狼男は拙者も知っているでござる」
 マルヤムさんもこの妖怪について述べた。
「ドイツやフランスの妖怪でござるな」
「欧州が有名ね」
「今日本にもいると聞いたでござるが」
「実際にあるわ」
「そうでござったか」
「ある村のお婆さんが実はね」
「人狼でござったか」
 マルヤムさんは意外だという顔で友奈さんに応えていた。
「日本にもいるとは」
「ニホンオオカミがいたから」
「だからでござるか」
「ただ、多くはないわ」
「そうでござるか」
「日本人はニホンオオカミに襲われることは殆どなかったから」
 むしろ田畑を荒らす獣を食べてくれる益獣として神様にしていた位だ、『おおかみ』という言葉はそのまま『大神』となる。
「だからね」
「憑きものとしてもでござるか」
「多くなかったの」
「そうでござったか」
「けれど欧州ではね」
 吸血鬼と関係の深い東欧のものやドイツやフランスの狼男はだ。
「違ってね」
「話も多くてでござるか」
「恐れられていたのよ」
「人を襲い喰らう魔物でござるな」
「まさにそうね」
「満月の夜に出る」
 満月を見て人から魔物になるのだ、実際に狼は夜行性なので月の下で行動することが多いからこういうのだろう。
「神聖な月をでござるな」
「イスラムではそうだったわね」
「月は神聖なものでござるよ」
「涼しい夜を優しく照らしてくれる」
「強い日差しの太陽よりもでござる」
「イスラムでは月ね」
「月が尊ばれるでござるが」
 イスラムではそうだ、しかしなのだ。
「欧州では魔性も持っているとでござるな」
「思われていてね」
 そうしてなのだ。
「狼男は満月を見て変身してね」
「人を襲い喰らうでござるな」
「そう言われているわ、ただね」
 友奈さんはその狼達を見つつマルヤムさんに話した、狼の大きさも熊と比べると相当に小さい。大きな犬位だ。むしろ土佐犬とかよりずっと小さい。
「狼はね、さっきもお話したけれど」
「人を襲わないでござるな」
「だから犬にもなったし」
 家畜化されているうちにそうなった。
「そして人が狼に育てられた」
「そうした話もあるでござるな」
「実際のことかどうかはわからないけれど」
 狼少女の話だ、この話は現実はどうかわからないとも聞いている。
「けれどね」
「狼男のお話もでござるな」
「実際はね」
「狼は人を襲わないからでござるな」
「これは別の真実があるみたいよ」
「というと」
「吸血鬼もその説があるけれど」
 狼男と縁の深いこの魔物もというのだ。 
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