夢幻水滸伝
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第六十七話 都に降臨その七
「いや、こっちの世界に来たらでおじゃる」
「狐人の姿になっててやねんね」
「そして太宰さんとすぐにお会いしてでおじゃる」
「こっちの世界での暮らしはじめてんね」
「実は最初何が何かわからなかったでおじゃる」
「そういえばうちは八岐大蛇に全部教えてもらったけれど」
ここで綾乃は自分と他の星の者達の違いに気付いた、自分には教えてくれる者がいてくれているが他の者にはいないことを。
「他の子はこの世界のことどうして知ってるんやろ」
「そのことはでおじゃる」
夏目は綾乃にすぐに答えた。
「この世界を歩いていて人に聞いてでおじゃる」
「そうしてなんやね」
「教えてもらったでおじゃる」
そうだったというのだ。
「麿達は」
「それで知ったんやね」
「そうでおじゃる」
まさにという返事だった。
「そして旗揚げからはでおじゃる」
「官吏の者達から聞きました」
太宰も綾乃に言ってきた。
「そうしてです」
「この世界のことわかったんやね」
「知っていきました、地図もありますし」
「ああ、地理も頭に入れたんやね」
「はい、歴史も」
「そういえばこの世界の歴史ってどうなんやろ」
綾乃は太宰が口にしたこのことについてふと考えを及ばせた。
「一体」
「長い間一人の君主、皇帝ですね」
「その人に治められてたんやね」
「代々。ですがその血筋が絶えて」
「内乱になったん」
「いえ、その瞬間に世界が全て石に変えられて」
そうしてとだ、太宰は綾乃に話した。
「海の魔神によって海に沈められたそうです」
「魔神になん」
「そう言われています、それから数年間海に覆われていましたが」
「それが終わって今に至るんやね」
「はい、世界には二つの浮島だけが残っていましたが」
「浮島?」
「大蛇からお聞きではなかったですか」
太宰は綾乃が浮島と聞いて疑問形の言葉を出したのでこう問い返した。
「そうでしたか」
「ちょっとな」
「そうでしたか」
「悪い、言い忘れてた」
ここで大蛇の声が綾乃の心に言ってきた。
「そのことはな」
「そうなんやね」
綾乃も大蛇に心の中で応えた。
「まあ言い忘れもあるわ」
「済まんな」
「別にええで」
綾乃は大蛇に心の中で答えた、そうして太宰との話を再開した。
太宰は綾乃にその浮島のことを話した。
「空に浮かんでいる島でして」
「ああ、天空の城みたいに」
「はい、あの様な感じで」
まさにと答えた太宰だった。
「空に浮かんでいます」
「そうした島やねんな」
「海にあるのではなくです」
「空にある島やね」
「この世界にはそうした島も多くあります」
こう綾乃に話した。
「日本上空にも近海にも」
「あちこちにあるんやね」
「はい、そうです」
「ほなそうした島も」
「戦略上重要になっていきます」
「そういうことやね」
「空船や翼、術で行き来出来ます」
その浮島はというのだ。
「そこには人もいて産業もあります」
「街とか村もあるんやね」
「はい、大きな島だとです」
それこそとだ、太宰はさらに話した。
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